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冒険者ギルドと曲芸師ギルド

支給された初心者の剣と初心者の鎧には、耐久度が設定されていない。つまり、どんなにボロボロになっても壊れない、ということなのだが、そこに目を付けたのが、ケン。


初心者の剣を修理目的で叩く。だが勿論、一番右に振り切ったところでだ。すると「混乱」が付与された初心者の剣が出来上がった。装備してみると、自分がどこにいるのか分からなくなった。思わず装備を解除してしまったが、これは良い作品が出来たとホクホク顔のケン。初心者の鎧も修理したかったのだが、耐久度がまだまだあるので修理出来なかった。


ポーンと音が鳴ったのでステータス画面を表示してみると、剣職人レベル-1となっていた。LGにマイナス値があるとは思わなかった俺は、非常に驚いた。レベル10に達すると新たなスキルを取得することが出来る。レベル-10でも同じようにスキルが取得できるか楽しみにしている。


今日はマグナスにあるお店を回ってみたいと思っている。石畳をコツコツと歩く。靴も装備品なので消費して鎧職人でマイナス値をつけようと思っている。一本通った大きな道には冒険者ギルドがある。横に生産者ギルドがあり、その横に剣士ギルドなどが並んでいる。一本左隣の道には雑貨店やブルーシートを敷いたお店が軒を連ねている。一方冒険者ギルドの一本右隣の道には訓練場やPvPの開かれるコロシアムが建っている。


ケンは冒険者ギルドに入ってみることにした。左の壁には、冒険者ギルドでのすすめが書いてあった。読むと、まず最初に受付でギルド証を作る。次に反対側の壁から、受けたい依頼書を持ってきて受付に出す。最後に依頼が完了したら、ギルド証と依頼物を提出して完了となる。


受付がずらりと並んでいる。

では、受付でギルド証を作ってみよう。

「すみません。初めてで、ギルド証を作りたいのですが、今良いですか?」

「はい、ギルド証の発行ですね?勿論大丈夫ですよ。お名前を記入して、人差し指を朱肉でポンポンして押してくださいね」

俺は人差し指を朱肉でポンポンの言い方に萌えてしまっていた。いかん、いかん紳士な態度を取らなくては。

「はい、書き終わりました。確認お願いします」

「はい、大丈夫ですよ。依頼を完遂したらギルド証も一緒に提出お願いします」

「分かりました。いってきます」

「いってらっしゃいませ」


依頼書を見に行くと、スライムキング討伐の依頼が張ってあった。これはもう討伐済みなのだが、もう一度討伐しなければいけないのだろうか?受付で聞いてみることにした。

「すみませーん。これなんですが、スライムキングはもう討伐済みなんです。この場合はどうしたら良いんでしょう?」

先ほどの受付嬢に聞いてみる。

「スライムキング討伐の証はありますか?それがあれば依頼は達成となります」

「はい、あります。これです」

「確認しました。達成報酬の100ゴールドです」


スライムキングを討伐した時と同じ金額だ。嬉しさが倍になる。

「ありがとうございます!また来ます」

名札を確認すると、ミキと書かれていた。

「それじゃあまた、ミキさん」

「はい、ケンさん」

ミキさんの方はギルド証で覚えてくれたのだろう。


「良い出会いに感謝!」

依頼書は確認が取れれば、討伐後に提出しても良いことが分かったので、次のギルドへ行ってみよう。


次に入ったのは剣士ギルドだ。剣を扱っているのだから、ここだろう、と目安をつけてきたのだが、どうやら違ったらしい。

「確かに剣を使っているなら、剣士ギルドでも良いんだが、君は曲芸師なんだろう?まずは曲芸師ギルドに行ってみるべきだよ」

と言われ、曲芸師ギルドへ向かった。


格式高そうな曲芸師ギルドは閑散としており、活気がない。奥から声がする。

「ようこそ、曲芸師ギルドへ」

「初めまして。こんにちは。曲芸師ギルドは随分静かですね」

「ああ、実はそうなんだ。君が来客一人目なんだよ」

女性の職員さんがそう言う。

「ケンと言います。ギルド証を作っていただけますか?」

「分かった。じゃあこれに名前と指紋をお願いする。それと、そんなかしこまった話し方じゃなくて良いぞ」

「了解。はい、書き終わったぜ」

口調を変えるのを職員側から提案してくるとは思わなかった。


「私の名前はリンだ。よろしくな」

「ああ、よろしく」

「曲芸師ギルドでは、同じ曲芸師同士がパーティーを組む場になったり、依頼をこなすと報酬が出ることになっているぞ」

曲芸師ギルドには、今はケンとリンの二人しかいないのでパーティーを組むのは不可能だ。依頼書を見てみる。


ジャグリング100回で50ゴールドという依頼書が張ってある。思わずリンの元へ持っていくと、

「惜しいな。ジャグリング100回には、まだ達してないよ」

という残念なお知らせ。

「これってジャグリング200回したら、どうなるんだ?」

「そしたら100ゴールド貰えるよ」

これは良いことを聞いた。金策に使えるじゃないか。それと同時に冒険者ギルドでスライムキングを何回倒しても報酬が貰えるのか、聞けば良かったな。と後悔の念がやってくる。


とりあえず、依頼書をもとの場所に戻しておく。他の依頼書は、モンスターの上で五分間立っていること。口から火を吹いてモンスターを倒すこと等が張ってあった。口から火を吹いてって、どうするんだ、と思いリンに聞く。


「リン。口から火を吹いてモンスターを倒すことなんてどうすれば良いんだ?」

「それは口に度数の高い酒を含んで、ライター片手に吹き付けてやればいいのさ。そうだ、ちょうどライターと酒を余らせているんだった。持っていきな」

そう言われると、アイテム欄に酒五本とライター二本が収納された。


「良いのか?こんなにもらっちまって」

「良いの、良いの。なくなったらまた声をかけてくれよな」


思わぬ形でアイテムを貰うことになったケン。嬉しさはうなぎ登りだ。


「これから先、ここにユミという冒険者が来ると思うが、そいつにも同じものを頼む」

「本来こういうのは、自分で発見していくものなんだけどねぇ。まあ分かった。ユミが疑問を持とうがもたまいが、酒とライターは準備しといてやるよ」

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