ミキさんと久々の対面
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マグナスに着いて、向かったのが、冒険者ギルドである。久々にミキさんとの再開である。
「ミキさん、どうもご無沙汰です」
「こちらこそ、お久しぶりですね」
いつも通り笑顔で話しかけてくれる。
「番号札で呼ばれましたら、またどうぞ」
「はい、分かりました」
今朝倒してきたのは、ウルフマン十体だ。2500ゴールドの儲けがもう既にある。ドロップ品は他にウルフマンの毛皮、爪、牙がそれぞれ十枚、五枚、三本ある。そういえば、さっき頭の中で音がするのをスルーしていた。ステータス画面を見てみる。曲芸師師範がレベル14に、敵視がレベル16に、遠投がレベル15になっている。こうして見るとどのスキルも随分上がったものだ。と感慨深くなっていると、
「番号札九番でお待ちのお客様、どうぞ」
とミキさんに呼ばれた。
「はい、報酬の2500ゴールドです」
「ありがとうございます。ミキさん、夜は眠って休むんですね」
「ええ、朝から夕方までは私が担当しています。休暇もあるんですよ」
なんと休暇まで再現されていたのか。
「夕方からはどなたに担当されているんですか?ケンさん」
「夕方からは、レイアさんにお任せしています」
「レイアちゃんが担当ですか。レイアちゃん良いですよね。ハッキリしていて」
「まあ、そうですね」
そこで、スピアがこっちをものすごい形相で睨んでいることに気がついた。
「パーティーメンバーが待っているので、今日はこれくらいで失礼します」
「分かりました。またお越し下さい」
スピアの方へ行く。
「どうしたんだ?凄い顔してるぞ。そんなに待たせてしまったか?」
「別に、なんでもない」
プイと横を向いてしまったスピア。どうしたものかと思ったが、俺は名案を思いついた。
「飯にしよう」
調子が悪い時、いまいち気分が優れない時はこれだ。美味しい料理を食べること。
「お昼ごはんは俺が奢るから、な?」
不機嫌そうなスピアに、料理を作ってもらうのも気が引けるから、どこかお店で食べようと提案したのだった。
すると不機嫌さが消え、
「お昼ごはんは何にしよっかなぁ」
とゴキゲンになる。
「決めた。お昼ごはんはステーキね」
スピアがすたすたと歩いていく。離されまいと歩くケン。着いたのは、プレイヤーメイドのお店だった。
「ここがお昼ごはんの場所か?」
「そうだよ。人気店だから混まない内に食べなくちゃいけないね」
お店の中に入るケンとスピア。
「二名様でよろしかったでしょうか?」
「はい、お願いします」
「奥の席どうぞ」
スピアの言った通り、人気店なのだろう。お昼ごはんには少し遅いが、人、人、人。人で溢れ返っている。
「ステーキ二人分で」
慣れた調子で注文するスピア。
「焼き加減はいかがしましょう?」
「ケンどうする?あたしはレアで」
「それじゃあ俺もレアでお願いします」
「もしかして、このお店は初めてじゃないのか?」
「うん。空腹度とか関係なしに定期的に食べに来る。食べ歩きが趣味になったから」
「へー、そうなんだ」
「食べ歩きは良いよー。思いがけず、美味しい料理屋さんに辿り着くこともあるし」
食べ歩きの話をしていると、ステーキが運ばれてきた。肉汁たっぷりで美味そうだ。
「まずは一口。あちち。でもレアで美味しい。すみません、ライス大を追加でお願いします」
「それならあたしはライスの小をお願いします」
ステーキは300グラムと大きかった。普通のお店では200グラムが一般的だ。
ライスが届き、またもやステーキをぱくり。肉汁が溢れ出して美味しい。今度はライスも食べてみる。これだよなぁ。やっぱりライスをつけて正解だった。日本人にはお米が欠かせない。
二人ともしばらくの間、無言でステーキとライスを食べ進める。バフがついていることに気づく。体力増強 中 だ。
バフまでついてくることに感心した俺は、スピアに話しかける。
「このお店のステーキはバフまでついてくるんだな」
「ホントだ。知らなかった」
「前に来た時は何を食べたんだ?」
「ハンバーグよ」
「で、バフがついていたか分からないっと」
「そういうこと」
お会計は1100×2で2200ゴールドだった。