星の剣
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ポーンと頭の中で音がする。曲芸師師範がレベル12アクロバットがレベル20、反射神経がレベル9になった。アクロバットは進化させて空中浮遊に出来る。空中浮遊に進化させてレベル1になった。
「これで蜂蜜取り放題だぜ」
と俺は喜んだが、みんなは別の方向を見ている。
「どうしたんだ?」
と聞くと、
「あれ、宝箱じゃない?お宝ゲットよ!」
とスピアが喜ぶ。
みんなで宝箱の方から確認する。それぞれ個人報酬になるので、自分の好きな報酬を貰える。リストに目を通すと、星星の剣というのを見つけた。もうこれしかない、と決めリストから選ぶ。
「俺は星の剣にした。みんなはどうした?」
「あたしは炎の槍にしたよ」
「儂は氷の斧にした」
「私は風の弓にしました」
「ねえ、なんで一人だけ意味不明な星の剣にしたの?」
と、スピアに聞かれる。
「図書館で色々調べているうちに、キーアイテムになりそうだと思ったからだ」
「へー、図書館なんか行ったことなかった。情報があるなら行ってみようかな」
「言っておくが、自動翻訳のスキルがないと、図書館の本は読めないぞ」
「あっ、そうなんだ。それじゃあ無理だわ」
スピアは図書館に行くのを諦めたようだ。
「それじゃあ、来た道を引き返そう」
アックスの号令で来た道を引き返す。これだけでも、STR(筋力値)が上昇しそうだ。
三十分も歩くと、
「休憩しましょう。ハァ、ハァ」
とユミが言ってきた。みんな賛成で、休憩を取ることにした。水筒から水を飲む。トイレに行きたくなりそうなものだが、そこはゲーム。トイレに行かずに済む。
十分ほど休憩して、また歩き始める。登りより下りの方が楽だが、足を踏み外してしまいそうでとても危険だ。
さらに戻ると、スモール・コングが出てきた。勾配の緩くなった道で、ユミは絶好調だ。疲れも忘れ、スモール・コングを片っ端から矢を放っていく。ダガーで割り込む隙もないほどにだ。弓の大活躍により、一時間後には、船のもとへ辿り着けた。
「よし、船を反転させるぞ。せーの!」
アックスの掛け声で、みんなで船を反転させる。船は意外にもあっさりと反転した。
船に乗り込んで、ケンとスピアとユミはぐったりと横になる。疲労困憊だった。その中で一人元気なアックスが、エンジンをかけて、舵を取る。そのまま三人はぐっすり横になってしまった。
「皆の衆、起きろ。グラーシャへ着いたぞ」
「ううん、もう五分だけ・・・」
「いや、十分だな」
「いえ、あと三十分・・・」
「シャキッとせんか!」
アックスの力強い声で、三人は飛び起きた。
「ビックリしたな」
「鬼軍曹みたいです」
「ねー」
三人は言いたい放題である。
「む、すまなかった」
「いや良いんだ。俺達が悪かったんだから」
そう俺が言い、アックスに謝る。
四人で冒険者ギルドへ向かう。港町だからか、どの受付嬢も日焼けしている。番号札を手に取って、席で待つ。
呼ばれて行ってみると、討伐したスモール・コング四体で800ゴールドを受け取った。そしてシルバービーの討伐で300ゴールド受け取った。この分だと、ユミはとんでもないことになっていそうだ。
「そうそう。船のレンタル料だけど、全額あたしの負担で良いから」
「良いのか?」
「あたしがお宝探しに行きたかっただけだし、3000ゴールドを四人で割るのも、面倒だから」
「それなら、儂も甘えるぞ」
「私もです」
そうして船のレンタル料は、スピアに全額負担してもらった。
「そういえばリンにお土産を頼まれていたんだった。急いで釣りをするぞ」
「リンさんにお土産ですか。どんなものです?」
「お刺身と強力なライトだ」
「それじゃあ、手分けして行動しましょう。私は強力なライトを買ってきます。だから魚釣りは任せましたからね」
「色とりどりのライトを頼む。それも最新式の器具で。代金は俺が後から払うからよろしくな」
「はい、分かりました。では行ってきます」
ユミ以外の三人で堤防から釣りをする。釣具を借りるのに、それぞれ100ゴールドかかった。釣れるは、釣れる。この前ほどじゃないけど。それでも三匹釣り上げた。
「スピア、今釣った魚を料理して、刺身にしてくれ」
「りょーかい」
ちょうど料理が終わって、スピアに300ゴールド払ったところで、ユミが帰って来た。
「はい、ケンさん。ライトですよ」
と、随分大きいライトを差し出してきた。
「お代は1200ゴールドです」
ゴールドを払いながら
「思っていた以上に高かったな」
と言うと、ユミも
「そうですね。驚きました」
と言った。