リアルのゲームセンターにて
「どうだった?」
奈央の質問に答える。
「剣職人、やっぱりマイナス値で良かった」
「ええー、ホントかなぁ?」
奈央に疑われる。
「ホントだよ、俺的にはだけど」
「そっか、それなら仕方ない」
「あたしは曲芸師に挑戦したけど、歩くので精一杯だったよ」
「まあ、あのプレイ時間じゃ妥当じゃないか」
そう言って奈央をなだめる。
「音ゲーやろうよ」
「良いぞ」
そんな呑気な会話から始まったのは、難易度ベリーハードな音ゲー。二人ともタイミングやリズムを取るのが得意なのだ。
ジャンジャカジャンジャーン。曲が終わった。勝ったのは健二。
「これは曲芸師使いとして負けられない」
「あー、悔しいな。次、クレーンゲームしよ!」
クレーンゲームは奈央の得意ジャンルである。
「一気に二個ゲットしたよ」
「もう五回も挑戦して取れないんだが・・・頼む取ってくれ」
「ふっふっふ、任せなさい」
そう言って奈央が健二にお菓子を取ってあげる。
「ありがとう。流石だな」
「もっと褒めてくれても良いのだよ」
「分かった。よっ!ナイス、神プレイ!」
「てへへへへ」
奈央も満足いったようだ。俺はお菓子を取ってもらった時点で満足している。
「そろそろ帰るか、ちょうど飯時だし」
「そうだね。じゃあご飯食べたら、LGの世界でまた会おう」
「おう」
家に帰ると生鮮食品から、冷蔵庫にしまっていく。氷を貰ってきておいて、本当に良かった。危うく刺身がダメになるところだった。昼飯は久しぶりに自炊する。ネギを細かく切って、豚肉も切る。フライパンに油を注いで熱したら、豚肉を軽く炒める。一度取り出して、溶き卵を入れて、ご飯とネギと豚肉を入れる。かき混ぜればチャーハンの出来上がりだ。
「うん、旨い」
いつもはチャーシュー麺だが、たまには自炊も良いもんだ。チャーハンはあっという間になくなった。
皿洗いでもしようかと立ち上がると、奈央からチャットが来ていた。
「先にLGにて待つ」
簡潔な文章だ。俺も
「了解」
とだけ返信しておく。
皿洗いして洗濯物干して、掃除して。そんなこんなで一時間は経っていた。まずいな。リアルで一時間ってことは、LGでは五時間ってことになる。大遅刻だ。急いでLGにログインする。
すると出てきたのはヒトミ。この忙しい時になんだ?
「この前のクエストで二位なんて凄いね!」
「ありがとう」
「それで、あのね。この前のコロシアムでの試合をみた人達から、残酷過ぎるだろうって抗議のメッセージが来てるの。それで、悪いんだけど、リアルで一週間コロシアムでの戦闘禁止処分になっちゃった。力及ばずごめん」
「なんだ、そんなことか。ちょっとやりすぎたし、反省してるから、了解だぜ」
「うん、分かってくれてありがとう」
「それじゃあLGの世界へいってらっしゃい」
シャワーを浴びてからホテルを出る。日焼けは治っているようだ。
「おっそーい!」
スピアの声がする、と同時に
「街中での戦闘は禁止されています」
とケイコクがなる。
どうやらスピアが俺に飛び蹴りしようとしたようだった。
「もう砂漠で、一戦闘してきたところなんだからね」
「スピア、それにアックス、ユミ遅刻して悪かった」
「儂は別に構わんよ。リアルを優先するのは当たり前だと思う」
「そうですよ。特に約束してたわけじゃないんですし」
「あたしは約束したに近いわよ!最初の二時間なんて一人で待ってたんだから。アックスとユミちゃんが来てくれたから、なんとかなったけど」
「すまん、でも一人でもやれることはあるぞ。瞑想とかランニングとか筋トレとか」
「乙女が街中で筋トレなんか出来るかーい!」
「良いじゃん。筋トレ女子って感じで」
「ああ、もういい!次の目的地の島に行くわよ」
スピアがそう言ってズンズン進んでいく。
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