四人で釣り
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「どこかへ行くのか?」
リンの質問に
「ああ港町へ行くことになったんだ」
と答える。
「港町へ行くのか。それじゃあ土産に刺身を頼む。冒険者は刺身を腐らせずに、持ってこれるから、便利だよな」
「分かった。刺身だな。他にはあるか?」
「そうだな。ライトが欲しいかな。強烈で色が変わる最新式のやつ」
「了解。ではいってきます」
「いってらっしゃい」
アックス、ユミ、スピア、そして俺ことケンの四人組で森を越える。うっそうと生い茂った森から一変して、そこは砂漠になっていた。砂漠にはところどころヤシの実がなっていて、それで水分補給が出来るようだった。
見える限りずっと砂漠だ。モンスターも出てきた。ラクダだ。アックスが攻撃しようとする。俺はそれを止めた。
「アックスやめろ!ラクダは良いモンスターかもしれないんだ」
そう言うと、アックスは斧を下ろした。
「その、良いモンスターってのは、どういうことだ?儂は聞いたこともないが」
「図書館の本に書いてあったんだ。攻撃しない良いモンスターがいるってな」
「なるほど、図書館ではそんなことも知れるのか」
アックスが納得してくれた。
「じゃあ、あのラクダに乗れるんじゃないですか?」
ユミが突拍子もないことを言う。ええい、物は試しだ。試してみるか。
「よっと」
ラクダにまたがってみる。ラクダは大人しいままだ。これなら三人も交代しながら乗れるな。
「次!乗ってみたい人?」
「はい、はーい」
とスピアが立候補してきた。
「じゃあゆっくり乗るんだぞ」
俺はラクダにスライムゼリーを与えた。モグモグと食べるラクダに癒される。
「それ、良いですね。私もスライムゼリーあげても良いですか?」
「どうぞ、どうぞ」
ユミにスライムゼリーを与える役職を譲る。
こうして俺達は砂漠を進んでいった。途中で蠍が出てきた時は焦った。何せ全長が120センチメートルを越える大型の蠍だったからである。これにはユミもスピアも悲鳴をあげて使い物にならなかった。俺とアックスで対応したのだが、毒のある尻尾の部分を、アックスがいち早く切断してくれたので助かった。二度目に出てきた蠍には、ユミはもう対応出来たらしく、弓を使って遠距離から倒してくれた。
砂漠にはサボテンも生えており、サボテンは花をつけていた。
「サボテンの花ってこんなに綺麗なんですね」
ユミの言うとおり、サボテンの花は綺麗だった。ピンクの花や白い花、オレンジの花があって、とっても賑やかだった。
それ以外は何ともなく、港町へ着いた。ラクダともここでお別れだ。
「じゃあな。世話になった」
「お別れですね」
「どうもありがとね」
「達者でな」
四人でお別れの言葉を口にする。
港町の名前はグラーシャ。潮風が心地よい街だ。ここが第三の街という事で間違いないだろう。港町らしく、船舶もある。
色とりどりの屋根が特徴的で、鮮やかさを際立たせている。一方で塩害対策に、ドアなどは補強されていた。
「まずは何をする?」
「冒険者ギルドへ行ってみようよ。あたしどんな依頼書があるか気になるし」
「良いな。そうしよう」
冒険者ギルドへ着くと、そこには筋骨隆々な人達がたむろしていた。
「なんだかちょっと怖いね」
スピアが耳打ちしてくる。
「何かあったら、助けてやるから安心しろ」
小声でそう返す。
冒険者ギルドの依頼書には、釣った魚も値段がつくことが分かった。四人で釣具を借りて、船に乗り込む。
「釣具も合わせて一人当たり、一時間500ゴールドだ。良心的な値段だろう」
と言われたが、基準を知らないので何とも言えない。ハハハと笑って返すのだった。
最初の三十分は誰も何も釣れなかったが、ユミが一匹釣り上げてから、みんなに当たりが来るようになった。漁師さんいわく
「魚の群れが来たんだろう」
とのこと。このチャンスを逃すまいと必死に釣りを続ける。かかったのは鯛。他にも鰯、小鰭などが釣れた。アックスはメカジキを釣っていた。
そうして三時間漁を楽しんだ。
「冒険者ギルドに行く前に、あたしに料理する魚をくれないかな?」
とのスピアのお願いで、みんなで釣った魚を出し合うことにした。
アックスはメカジキを譲っていた。流石にスピアも遠慮していたのだが、
「メカジキの刺身が食べてみたい」
との要望を受けて、引き取る覚悟を決めたらしい。みんな、スピアが料理してくれるからと譲った魚の代金は請求しないことにした。
冒険者ギルドに着くと、番号札を渡される。順番が来て呼ばれると、魚の買取額を言われた。
「625ゴールドでいかがでしょう?」
「はい、是非お願いします」
即決し、代金を受け取る。ぶっちゃけお金には困っていないので、交渉する気もなかった。
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