初めてのPvP
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スピアからメッセージが届く。
「ユミちゃんと今からそっち向かう。到着は二時間後くらいになると思う」
「了解。気をつけて。こっちはアックスに連絡取ってみる」
と返信する。
「スピアとユミが二時間後くらいにこっちに来るそうだ。久々にみんなで集まろう」
「了解した。儂も寂しいと思っていたところだ」
アックスにチャットしてから、図書館へ向かう。
図書館では、珍しく児童書のコーナーから離れて、一般書籍を見ている。今読んでいるのは、「ギルドの成り立ち」だ。
ギルドはそれぞれの職業から成り立っている。剣士ギルドなら、剣士から。弓士ギルドなら弓士から。複数のギルドに加入することも可能だ。ギルドが成り立っているのは、国からの助成金とギルドを利用する人達の飲食代や、物産費でまかなっているようだ。
そうすると俺とユミしか利用しない曲芸師ギルドは、ほとんど儲けがないことになる。リンの懐事情は大丈夫なのだろうか?
しかしギルドメンバーが増えていけば増えていくほど、収入は増えるようだ。他には儲かった分だけ、税金が増えるシステムらしい。これなら、儲かっていないギルドもやっていける。
ポーンと頭の中で音がする。自動翻訳がレベル9になったようだ。
約束の時間まで、後一時間だ。少し早いが、噴水の前で瞑想でもしながら待っていよう。噴水の音に耳を傾けながら瞑想する。だが途中、邪魔が入った。
「おい、ケンとやら。俺達とPvPしろ!」
「うるさいな。今は瞑想中だ」
「なんだと!?ぶん殴ってやる」
ケイコク!街中での戦闘は許可されていません。と鳴り響く。他のプレイヤーにも聞こえたようだ。なんだ?とこちらを見ている。
「へっ!腰抜けが。PvPもできねーのかよ」
「そっちこそ、一人じゃ声をかけることも出来ないへっぽこなんだろう?」
「良いだろう。俺一人とならPvP受けて立つんだな?」
「ああ、時間が勿体ない。早く、コロシアムへ移動しよう」
いかにも冒険者の不良軍団と思わしき奴らと、危うく喧嘩になるところだった。待ち合わせまで後40分。急がなければ。
武器の使用 自由 制限時間なし
以上に同意しますか?
同意する 同意しない
同意するを選択して待つ。
「じゃあ試合は五分後だからな。覚悟しておけよ」
「それはこっちのセリフだ」
五分間で入念にストレッチをする。五分後、コロシアムの戦場へ降り立つ。早く早くと急かす気持ちを抑え、ダガーを二本投げる。
「ぎゃああああ」
ダガーが両目に当たったようだ。焦らずダガーを背中に刺していく。
「どこだ!どこにいる?」
「ここだよ」
と言いながら、攻撃力-30のダガーを二本引き抜く。そして滅多刺しにしていく。攻撃力-30なので、大したダメージではない。だが絵面が最悪だ。馬乗りになった後、ひっくり返してマウントを取ると滅多刺しにしていくうちにグロくなっていく。規制がかかりある一定のところからは見えなくなっていた。
所要時間十五分。一方的な攻撃でケンの勝利となった。待ち合わせまで、後十分少々。急がねばならない。
「お待たせ」
約束の時間まで十分もあるのに、最後になってしまった。
「別に待ってないわ。今来たところ」
他の二人も、スピアの言葉にうんうんと頷いている。
「ところで何をしていたんだ?」
アックスが聞く。
「喧嘩っぱやい、不良達に囲まれてな。そのリーダーとPvPで一騎討ちしてきた」
「そんなの無視で良いのに・・・」
と、ユミが言う。
「それもそうなんだけど、一回はシメておかないとな。粘着されてもウザイし」
「そんなことより今日は何する?」
ケンが話題を変える。
「今日は森を抜けて港町へ行ってみたいんです」
と、ユミ。
「へー、森を抜けると港町があるのかい?」
アックスが尋ねる。
「いえ、正確には森を抜けて、砂漠を抜けると港町に着きます」
「良いじゃん。みんなで行ってみようよ」
スピアの一言でみんなが準備を始める。何せ砂漠には、どんなモンスターがいるのか知らないからである。俺は曲芸師ギルドでカトラスを三本買った。すぐに劣化状態になるが、今回は修理しないことにした。一本500ゴールドで三本で1500ゴールドになった。