レイアの怒り
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夕暮れ時となり、俺は夕食を食べることにした。少し前に訪れたプレイヤーのお店へ来ていた。外観は質素だが、味は確かである。
「こんばんは。やってますか?」
「へい、らっしゃい。ちょうど開店だよ」
このお店は夕食から深夜食をメインにしているのだろうか?それともログインした時間で変わるのだろうか?俺はつい質問をした。
「このお店はログイン時間で営業時間も変わるのですか?」
「ああ、そうだよ。じゃないとリアルと折り合いがつかなくて、大変なことになっちまう」
じゃあ、今日来れたのはラッキーだったな、と思った。
「今日は鶏肉が食べたい気分なんだ。オススメはあるかい?」
「はいよ。鶏肉はちょっと単価が高いけど良いかい?」
「具体的にはいくら位ですか?」
「1000ゴールドだ」
ちょっと悩む料金である。しかし、ここは奮発してみる。
「じゃあそれでお願いします」
「はいよ」
開店一番乗りということもあって、また誰もお客さんがいない。
出てきたのは焼き鳥だった。ねぎまもある。食べてみると、
「うまっ!旨いよ。おやっさん」
「そうだろう、そうだろう。手塩にかけたタレ味だよ。手塩にかけたのに塩味じゃねーのはすまなかったと切に思う」
おやっさんなりのジョークなのだろうが、スルーしてしまうほど、焼き鳥が旨い。
「これはピンキーバードの焼き鳥ですか?」
「おうよ、大正解!」
しかもステータス画面を表示すると、バフがついている。体力向上二時間。これは凄い。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
このバフを生かそうと、グレズリー狩りに出かける。グレズリーはすぐに見つかった。そのまま戦闘に移行する。グレズリーの両目をめがけてダガーを投擲する。
「グギャアアア」
グレズリーの悲鳴が聞こえる。遠距離から着実にダガーを当てていく。そして近づいていってから、
「無属性魔法」
を三連発で当てる。アクロバットも活用して当てたので、グレズリーからの攻撃が当たることはは一つもない。
「よし、良い調子だ」
グレズリーに聞こえないように、小声で呟く。
お酒をグレズリーの頭にかける。そして火吹き。グレズリーは息が出来ないようだった。偶然にもお酒が、気管の方まで入り込んでいたようだ。ここだ、と俺は思った。お酒を浴びせ、再度火吹きを行う。更に、ダガーを抜き、再び刺して出血させていく。そして無属性魔法を六連発した。
グレズリーが倒れる。完勝だった。ドロップ品は300ゴールドとグレズリーの肉三切れだった。ポーンと頭の中で音が鳴った。ステータス画面を表示すると、曲芸師師範レベル8、アクロバットレベル17、無属性魔法レベル15、遠投レベル12になっていた。
たまったグレズリーの肉六切れはどうするべきか、悩んでいる。二切れは残して売ってしまおうか、と考える。そして冒険者ギルドへ向かう。
「こんばんは、今日は何の用?」
「こんばんは、今日はグレズリーの討伐報告とお肉を卸しにきました」
レイアが対応してくれた。キリッとした目鼻立ちだ。
「67番でお待ち下さい」
そう言われて待っていると、受付の辺りが騒がしい。見ると、シルバーバレットとレイアが揉めている。
「ああ、もう限界!あなた達臭いのよ!少しはホテルに泊まってシャワーを浴びるくらいしなさいよね!」
「なんだと!?臭いだと?それは本当なのか」
「じゃあ周りのお客さんにも聞いてみると良いわ。みなさーん、この人達臭いますよねー?」
みんながコクコクと首を縦に振る。もちろん俺もだ。
「他のお客さんがどうしているか、インタビューしてみましょう。あなたはどうしていますか?」
「私は気になる時にホテルでシャワーを浴びています」
「さあ、お次のあなたは?」
俺の番がきた。
「毎日ホテルをとって、シャワーを浴びています」
「素晴らしい回答です!全冒険者に見習って頂きたいです」
そう言ってレイアはシルバーバレットに向き直る。
「ホテルの宿泊費はたったの100ゴールド、それだけで清潔感を手に入れられるのだから、安いと思いませんか?」
パチパチと拍手が聞こえる。それくらいレイアの
演説には華があった。
すごすごと帰っていくシルバーバレット。これで明日からは、シャワーを浴びる人達が急激に増えるだろうな、と思った。
「67番でお待ちの方」
「はい」
「ではグレズリーの討伐とお肉を四切れ卸すと言うことで、合計1500ゴールドです」
「ありがとうございます。敬語も普通に使えるんじゃないか」
と言うと、レイアは舌を出して
「だって親しみやすいほうが良いんだもん」
と、またしてもタメ口に。
まあ、それも愛嬌なんだと思うことにした。
今夜もホテルをとってシャワーを浴びて就寝することにした。
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