イベント 子供達からの依頼
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「そうか。そういうことなら承知した」
俺はそう子供達に伝えた。ワー、と歓声を上げる子供達。
「ただし、二つ条件がある。一つ、悪用しないこと。二つ、使い終わったら返すこと」
「はい、分かりました」
聞き分けの良い子供達。
「じゃあ、武器を出してみな」
「はい」
と、出してきたのは三本の剣。
「それじゃ、やっていくぞ」
メーターの振り切ったところで叩く。一本目は攻撃力-15がついた。二本目は暗闇状態がついた。三本目は毒状態がついた。劣化状態になったので、もう一回ずつ修理出来ることになった。
「もう一回いくぞ」
「よろしくお願いします」
一本目は凍結状態。二本目は攻撃力-15。三本目は錯乱状態が出た。
「持っていくときは、気をつけるんだぞ」
「はい、分かりました」
と言い、三本の剣を持っていこうとする三人。しかし、
「「「うわあ、なんだこれ」」」
剣を持った時のバッドステータスにびっくりしたようだ。
「デバフは初めてか?良ければ場所まで俺が持っていこうか?」
「良いんですか?でもその三本のバッドステータスじゃあまともに歩けませんよ」
「俺はアイテム欄があるからな」
そう言って、三本の剣をしまう。
「わあ、流石冒険者ですね」
子供に素直に感想を言われると照れるな。
路地裏から出て、その場所へ向かう。案内は子供達がしてくれるようだ。すると着いたのは、コロシアムだった。
「ここでPvPをして勝ちます!」
と言い、NPCであろう大人に声をかける。
「今日こそ勝ちます。こちらの持ってきた剣を使ってください」
「良いだろう」
大人は楽に勝てると言うような顔をしている。
こういうのを見ると、子供達に勝って欲しくなっちゃうんだよな。よし、子供達のことを全力で応援することにしよう。
さっきの大人は三刀流らしく、さっきの剣を一人で使うらしい。
「なるべく試合直前に渡して下さい」
子供にそっと耳打ちされる。
「分かった」
ケンは頷く。
「武器はその方から試合直前に渡してもらって下さい」
「分かった」
男はにやついている。なんか嫌だなこういうの。
コロシアムに入るのに、入場料100ゴールド取られた。中では怒号が鳴り響いていた。
「ぶっとばせ!」
「やっちまえ、やっちまえ」
他にも物騒なことを言っている人達もいる。
男の試合直前に三本の剣を渡す。
「なんじゃ、こりゃ」
突然のデバフに驚く男。
動揺している男に構わず、試合が開始される。子供達の連撃に対応出来ない男。
「くっそお」
おそらく暗闇状態で辺りを見渡せないのだろう。
そして子供達の攻撃に、やっと対応出来るようになった時には、毒状態と凍結状態でHPが尽きたようだった。
「やったぜ!」
「遂に勝てたな」
「よっしゃああ、大金星だぜ」
子供達の嬉しそうな声が聞こえてくる。
「あんたが黒幕かい?」
男が俺ににじり寄ってくる。
「さあね。勝ったのは子供達の実力だろ」
「ちくしょおおおお」
こちらは対照的に悔しがっている。
「ほらよ、約束通り30万ゴールドだ」
と言って、男は子供達にお金を渡す。
「凄い大金だ」
一人、貧乏そうな子供がお礼を言ってくる。
「ありがとうございます」
それに続いて、他の二人もお礼を言う。
「「ありがとうございました」」
「これで兄弟達を食わせていけます」
「あ、そうだ。ちょっと待ってな」
回収した三本の剣を修理する。今回は真ん中に針がきた時に打った。二回ずつ修理すると、そこにはただの剣が三本並んでいた。
「ほらよ、これで普通の剣だ。頑張れよ」
「わー、ありがとうございます」
剣職人のレベルに影響がないか、確認したが、特にそのままだった。一度下がってから上がったのかもしれないし、元々今回のイベントでは影響なかったのかもしれない。
なんにせよ、子供達を救ったのは事実だ。右上にイベント終了と出ている。ステータス画面を改めて開くとヒーローの称号を得ていた。