幼馴染みとLG
ちょっと早い朝食を食べてから、健二は調べものをしていた。それは無属性魔法についてだった。しかし検索しても情報が出てこない。
「無属性魔法も、曲芸師と同じような位置付けなんだろうな」
そう独り言を呟くのだった。
奈央に
「料理スキルを取ってるか?」
と連絡すると
「持ってるよー。職人も持ってる」
と、返事がきた。
じゃあ残り一つのスキルはどうするかな?と悩むことになった。アクロバットの幅を広げるために、ジャンプを取ろうか?それともダッシュを取って持久戦に勝ちやすくするか。隠密を取ってそもそも見つかりにくくするか。迷う、とても迷う。料理関係のスキルは奈央が取ってくれているので取らないことにした。
スキルレベル20になると、上位職業になるようだ。どんなものかワクワクする。
昼飯の時間だ。いつものラーメン屋でチャーシュー麺大盛を食べた。やはりこれが一番旨い。
腹ごしらえもしたところで、LGを始める。シャワーを浴びて噴水の前へ行く。そういえば奈央とどこで待ち合わせるか決めていなかった。奈央のアバターも分からないし、ここはジャグリングでもしてDEX(器用値)でも上げることにするか。一時間ほどジャグリングをしたときだろうか?女性が声をかけてきた。
「あのー、約束してる人いますか?」
「おお、待ちくたびれたぞ」
「名前教えてくれる?」
「ああ、ケンだ」
「私はスピア、よろしくね」
「おう、よろしく。フレンド交換するか」
「ええ、はい」
スピアをフレンドに加えますか?
はい いいえ
当然、はいを選ぶ。
「所々違う部分はあるが、随分本人寄りのアバターじゃないか」
「そういうケンもそうよ。じゃなきゃこの人混みの中、見つけられなかったんだから」
スピアの言い分はもっともである。
「スキル構成、お互いに確認するか?」
「良いね。チャットでやり取りしよう」
ケンの方は
「曲芸師レベル15、アクロバットレベル12、剣職人レベル-7、鎧職人レベル-3、、アクセサリー職人レベル0、自動翻訳レベル4、敵視レベル13、無属性魔法レベル11」
と送った。
今度はスピアの番だ。
「料理レベル9、職人レベル7、槍職人レベル5、
握力レベル11、火属性魔法レベル8、ジャンプレベル11、素手レベル9、遠視レベル8」
だった。
「スキルにマイナスが付くとか聞いたことないんだけど、何それ?」
スピアが小声でこっそり聞いてくる。
「あのな、こういう時の為にチャット機能があるんだぞ。今回は誰にも聞かれていないから良いが・・・」
「ごめん、ごめん。つい驚いちゃって」
「武器を直す時に、失敗するとマイナス評価が出るぞ」
とチャットで返す。
「有益な情報ありがとう。これ他の人達には秘密だよね?」
「もちろんだ」
今度はスピアもチャットで返してきた。
「何しよっか?」
「スピアさえ良ければ、料理をご馳走させて貰いたいんだが、料金はもちろん払うよ」
「了解。今から作るね」
そう言うと、人混みを避けてお店通りの道にやって来たスピアとケン。
「ちょっと待っててね」
そう言ってブルーシートを広げるスピア。俺もブルーシート広げには協力した。
他にもブルーシートを使って料理している人をしばしば見かける。しばらくすると、料理を持ったスピアがやって来た。
「お口に合うと良いけど・・・」
出てきたのは、薬草スープとワイルドボーアの直火焼きだった。料金は300ゴールド支払った。
「ワイルドボーアの方は、しっかり火が通っているから安心して」
「ありがとう。じゃあいただきます」
薬草スープの方はほんのりと甘い。ジュースに近い味だった。ワイルドボーアの直火焼きの方はしっかりと火が通っていてウェルダンだが、肉汁が出るほど美味しい。
「スピア。旨いよ、この料理達」
「誉めてくれてありがとう!作ったかいがあるよ」
「これからもたまにで良いから作ってくれよな」
という事で食事会は終わった。