クーデターの準備
不定期更新になってしまいますが、ご了承下さい。
崖を登ってたどり着いたのは、第六の街ロックだった。まずはホテルを探す。すぐにホテルは見つかり、名物だと言う、蜂蜜を探しに行った。
街の中心部に位置するところに、蜂蜜店が軒並み揃っていた。
「さて、どれにしようか?」
リンからは、特別どの蜂蜜が欲しいとは言われていない。とりあえず有名どころは購入しておくか。
「すみませーん。アカシア花蜂蜜を下さい」
「いらっしゃいませ。アカシア花蜂蜜ですね。500ゴールドになります」
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。ここら一帯のお店はこの大きさでしたら、全品500ゴールドなので、良ければ他にも見ていって下さい」
「ご親切にどうも。ぜひそうさせてもらいます」
お店の人の顔を見て、何か感じたが、良く分からず、次のお店に行ってみる。
「へー、クローバー蜂蜜なんてあるのか!」
「後味がさっぱりしていますよ。旦那、一本いかがですか?」
「是非、頂こう」
気づけば俺は、九種類全ての蜂蜜を購入していた。手痛い出費だが、リンが喜んでくれると思えば何てことない。
それよりも、俺は違和感の正体に気づいた。全員星星の人達なのだ。
「あの、皆さん。星星の人達ですよね?」
「何をおかしなこと言ってんだい。あんたもそうだろう」
「はい、まあ」
店主のおばちゃんにツッコミを入れられる。
「まあ、冒険者じゃ知らなくても無理はないか。ここロックは、太陽の人達から逃げてきた星星の人達が、作り上げた街なんだよ」
「もちろん、税金は払っているがね」
おじさんも合いの手を入れてくる。
「あのー、税金って何に使われているんですか?」
スピアが聞く。
「そりゃあ、インフラ整備に使われることもあるけど、ほとんどは王室のために使われるのさ。もっと言えば、隣の大陸に資金が渡っているのさ」
おばちゃんは、やれやれと言った感じでうつむきながら、首を左右に振る。
「それはどういうことですか?もっと詳しく教えて下さい!」
俺の熱意が伝わったのか、おばちゃんが話してくれる。
「王室は太陽の人達が取り仕切っているのさ。それで、毎月上納金を隣の大陸へ渡しているってわけだ」
どうだい?謎は解けたかい?という表情で、俺のことを見守るおばちゃん。
「そういう・・・ことだったんですね!」
「どうした?」
おじさんが聞いてくる。
「俺達星星の人達は働きアリだと、隣の大陸で言われたんです。搾取されていたんですね。やっと意味が分かりました」
「働きアリとは、酷いもんだ。自分達の方が上だとでも思っているんだろう!」
おばちゃんも怒っている。当然俺も怒っていた。
「反旗を翻して、王室を星星の人達のものにしませんか?いや、そうしましょう!」
おー、と街のあちこちから歓声が上がる。
「しかし、我々は一介の養蜂家だ。何か出来ることがあるだろうか?」
「それなら、武装して立っている係りをお願い出来ますか?人数はいるに越したことはありませんから」
「分かった。決行日はいつにする?」
「二週間後辺りを予定してくれると助かります」
「星星の人達のためじゃ、立ち上がろう!」
おじさんが力強く言う。
「なんだか、凄いことになっちゃったね」
スピアはどうしたらいいか、分からないようだ。
「スピアも、俺達のクーデターに加わって欲しい。戦力が必要だからな」
「うん。良いよ」
二つ返事でスピアは了承してくれた。
「ハーフの人達は傷つけないでくれよ。敵を増やしたくないんだ。それと王族も、無血開城させるつもりだ」
「分かった。無血開城だな。ツテを使って、星星の人達に連絡しておこうじゃないか」
おじさん、頼りになるー。