お花のプレゼント
赤い薔薇、白い薔薇、紫陽花を見繕ってもらった俺は、広場へと急ぐのだった。
代金は300ゴールドである。
「おっそーい」
スピアがあきれたような声を出す。
「すまん、すまん。担当者との話が長引いてな」
「だけど、スピアにお花を買ってきたぞ」
「わあ、綺麗」
「そうだろう。これで許してもらえないか?」
「うん、良いよ」
そう言って、アイテム欄にお花をしまうスピア。
「まずは飯でも食うか」
「賛成、料理はあたしが作るよ」
そう言って、パパッと作るスピア。
出来上がったのは、青椒肉絲だった。
「美味いな、バフもつくのか!」
「そうだよ。攻撃力10%アップだよ」
食べ終わって、
「今日はどうしようか?」
「第六の街へ行こうよ。って言っても、第六の街について知ってることある?」
「いや、全然。初耳なんだが」
「幻の第六の街が存在するんだって。あたし、担当ちゃんに聞いちゃった」
「へー、面白そうだな。具体的にはどこにあるんだ?」
「それが分からないのよ。順当にいけば、第五の街の先ってことになるけど・・・」
「幻と言われているから、また違う場所にあるとふんでいるんだな?」
「そう」
「ずばり、マグナスから崖の方に向かって、その崖の上よ」
「ええ!?あれはプレイヤーが行けないエリアの線引きじゃないのか?」
「誰がそんなこと決めたの?そうやってミスリードさせるためのものよ」
確かにスピアの言うことにも一理ある。崖だから行けないということはないのだ。
「じゃあ、分かった。俺は曲芸士ギルドへ行って挨拶してくる。その後で良いだろう」
「あたしも槍士ギルドへ挨拶してくるよ」
そう言って、二人は別れた。待ち合わせ場所は門の前だ。
「リン、いるか?」
「ああ、いるぞ」
「俺とスピアの二人で、幻の第六の街へ行くことになった。しばらく留守にするかもしれないから、挨拶しに来た」
「土産を頼む」
「早速、お土産の話かい!」
「ユミに聞かれたら、そう伝えれば良いのだな?」
「ああ、頼む」
「ところでリンは第六の街について知ってることはあるか?」
「ああ、場所も知っている」
「どこなんだ?」
「それはケン達が、一生懸命探せばいい」
「まあ、それもそうか」
「場所もってことは、他にも知っていることがあるのか?」
「ああ、特産品を知っている。こっちは教えても良いかもな。蜂蜜だ」
「へー、蜂蜜か。上品だな」
「そうだろう。土産に頼む」
「分かった。じゃあな」
「うむ」
リンのおかげで、思わぬ収穫があった。スピアに伝えよう。
門の前では、既にスピアが待っていた。
「お待たせ、貴重な情報をゲットしたぜ」
「あ、うん。あたしも」
スピアはなんだか、元気がない。
「なんだか、元気がなくないか?」
「うん。ケンの話を聞いてから、話すよ」
「そうか。第六の街は蜂蜜が特産品らしいぞ」
「あ、そうなんだ」
「スピアの方はどうなんだ?」
「第六の街の場所は、あたしの予想通り崖の上らしいよ。自信ありげに推理を披露したら、ギルド長に肯定されちゃった」
「あらら、ネタバレされちゃったわけか」
「うん。それでちょっと落ち込んでる」
「でも実際に行ってみないと分からないから」
「それもそうだな。行ってみようぜ」
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