ダーツ大会優勝
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優勝した俺は、インタビューを受けていた。
「いやぁ、鮮烈なデビュー戦でしたね。伊原さん」
「ありがとうございます。嬉しいです」
「ダーツ歴はどれくらいになるんですか?」
「一週間程度です」
「い、一週間!?」
インタビュアーはそこで言葉を切った。というよりも絶句しているようだった。
「冗談きついですよ。伊原さん。本当のダーツ歴を教えて下さい」
「ええ、ですから一週間です」
「・・・」
これではインタビューにならない。俺はそう思っていた。
なんとか復帰したインタビュアーは
「じゃあ、一週間の練習で日本一になったということですか?」
「はい、そうなりますね」
「なんと言うことでしょう!新スターの誕生です」
大きな歓声と共に大拍手が巻き起こる。
「今、一番優勝を報告したいのは、誰ですか?」
「はい、付き合っている彼女に伝えたいです」
「彼女さんも、さぞ喜んでいることでしょう!それでは賞金の150万円をお受け取り下さい」
小切手が渡される。
「来月の大会も楽しみにしていますよ。配信を見てくれているみんな、シーユー、ネクスト、アゲイン」
ここで配信が終わる。インターネット上で配信がされていたようだ。
優勝したことで、たくさんのスポンサーがついてくれることになった。
俺の真っ白だったポロシャツは、あっという間に文字で埋め尽くされた。
「後日、正式にスポンサー名の入ったポロシャツをお送りさせて頂きます」
「分かりました。ありがとうございます」
スポンサー様との契約金の話が終わると、森崎さんがやって来た。
「伊原さん。本当に優勝するなんて、快挙ですよ」
「ありがとうございます。来月の大会も優勝します」
「有言実行しそうで、ちょっと怖いな。私達もいるんですから、負ける気はありませんよ」
「望むところです」
「ところで、森崎さんはスポンサー契約はしましたか?」
「ええ、大手が一社契約してくれました」
「それは良かったですね」
「伊原さんは、聞くまでもなさそうですね」
スポンサー名の入ったステッカーの張られた、ポロシャツを見て苦笑いする森崎さん。
「お互いにスポンサー契約出来て良かったですね」
「はい。私も契約事態初めてなので、とってもワクワクしています」
お金の話をすると、格差が出そうなので、俺は話を変えることにした。
「どうやったら、世界大会に出場出来るんですか?」
「年間の成績で結果が決まるようですよ」
今は七月。一月からコツコツと成績を残してきた選手達とは、まだまだ差があるようだ。しかし、これからの戦いで勝ち抜いていけば、世界大会も夢じゃない。
「七月デビューしたのは、ちょっと残念でしたね。世界大会へ出場するのは、厳しそうです」
「いえ、そうでもありません。これから全ての大会で優勝すれば良いんですから」
「相変わらず、凄い自信ですね。ちょっと見習いたいくらいです」
そうやって森崎さんと話していると、決勝戦の相手がやってきた。
「少し聞きたいことがあるんだが、今良いか?」
俺は森崎さんの方を見る。
「あ、私は席を外すから大丈夫ですよ」
「いや、いてもらって構わない」
そう言うと、決勝戦の相手は話し始めた。
「ダーツ歴一週間と言うのは本当か?」
「本当ですよ」
「私も証明出来ます。本当ですよ」
「それなら、ハードダーツに興味はないか?世界的にはハードダーツの方がスタンダードなんだ」
「ハードダーツとは、どういうものですか?」
「おっと、そこからか。ハードダーツとは、先端が針になっているダーツのことだよ」
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