ダーツ大会1
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翌日、朝六時に目が覚めた俺は、瞑想をしていた。集中力を高める。
瞑想後、朝食を食べる。会場は電車で一時間の場所だ。のんびりと朝ごはんを食べれる。
奈央の作ってくれたバタートーストとコーヒーを飲み、出かける準備をする。
「大会はポロシャツでするから。って森崎さんからチャットが来たけど、白のポロシャツで変じゃないかな?」
「一番無難で、良いと思うよ。優勝すればスポンサーがつくかもね」
「そしたらこの白いポロシャツがオシャレになるな」
「そうそう。プラス思考でいかなきゃね」
奈央と軽口をたたいて、家を出る。
「いってきます。何かあったら絶対連絡しろよ」
「分かってるって。大丈夫。いってらっしゃい」
森崎さんと電車で一緒になった。
「おはようございます。伊原さんはいよいよデビュー戦ですね」
「おはようございます。森崎さん。ええ、優勝目指して頑張ります」
そのまま一時間ほど電車に揺られて、その後二十分歩いて目的地に着いた。
会場には予想以上の人がいた。五百人、いや六百人はいるだろうか。
「初めて来ると、規模の大きさに動揺しますよね」
「はい、ビックリしました」
俺達はエントリーを済ませる。幸い森崎さんとは、別ブロックのようだ。これで心の底から応援出来る。
「森崎さん、頑張って下さい!」
「ええ、伊原さんも一緒に頑張りましょう」
予選では01が使われるようだ。対戦相手は三回中二回ブルに入れてくる程度。大したことはない。軽く一捻りにしてやった。この調子で予選ブロックは、余裕で通過した。
俺は20のトリプルに当て続けていたせいで、注目の選手になっていた。どうやらこのブロックには、優勝候補がいたようだ。
「あいつだよ、あいつ。20のトリプルを外さねーの」
「マジかよ。見ない顔だな。まさかルーキーじゃないだろうな?」
そのまさかです。と心の中で呟く。
森崎さんも予選ブロックを通過していた。
「おめでとうございます!」
俺は森崎さんに声をかける。
「ありがとうございます。伊原さんも絶好調みたいですね」
「はい。おかげさまで。本選で当たることがあったら、よろしくお願いします」
会場にいた六百人のうち四百人が男性プロ。二百人が女性プロだったようだ。本選は二十人で行われる。本選に残っただけでも、スポンサーがつくそうだ。
「スポンサーがつくなんて凄いですね」
「ええ、私も初めてでワクワクしています」
森崎さんもスポンサーがつくのは、初めてのようだ。
本選は01とクリケットの五番勝負で、決着がつく。01、クリケット、01、クリケットの順で最後に01かクリケットをすることになる。
本選一回戦目は、まさかの森崎さんとだった。
「負けませんよ」
「私だって」
本選からは、最初にダーツを一本ずつ投げ、より中心に近いほうが先攻となる。ブルに森崎さんが当て、ダブルブルに俺が当てた。先攻は俺だ。
01でもクリケットでも俺が圧勝した。四回目のクリケットを待つことなく、次の試合へと進んだ。
「私に勝ったんですから、負けないで下さいよ」
森崎さんから、エールをもらう。
「勿論、優勝します」
「伊原さんには敵いませんね」
森崎さんは肩をおとして、観客席に座った。どうなるのか最後まで見るらしい。
といっても、決勝戦まで俺の相手になるような者はいなく、無事勝ち進めた。
決勝戦は、前年度の賞金ランキング一位の相手だ。どうなるのか、非常に興味がある。
先ほどの決め方で、先攻は俺になった。落ち着いて20のトリプルに三回入れる。トンエイティーだ。だが相手も俺の戦術を知っているらしく、もしくは彼のスタイルかもしれないが、トンエイティーを出してきた。これは気を引き締めてかからねばと思っていたが、結果からいうと、俺の完勝だった。