星星の人達と太陽の人達について
三日目は大した収穫はなかった。
デネブからの撤収を俺達は決めた。0879にチャットする。
「今から帰ろうと思うんだが、大丈夫か?」
「あいよ。今からなら二時間ちょっとで着くぜ」
「よろしく頼む」
そういうわけで、俺達は二時間喫茶店で時間を潰すことにした。
「ご注文をお伺いします」
「ブラックコーヒーで」
「儂も」
「私達は砂糖とミルクをお願いします。良いですよねスピアさん」
「うん」
こうして、俺達が注文を待っている時だった。
「星星の人達は、我々太陽の人達の働きアリでいればいいのだ」
と男性に声をかけられた。
「それはどういう意味だ?」
俺はタメ口で強気に出る。
「そのままの意味ですよ。暴力なんか振るわないで下さいね。野蛮ですから」
「そんなことはしねーよ。それより、そのままの意味だというのはどういうことだ?」
「分からないなら、分からないで良いんですよ。我々がいじわるしているわけでもありませんし」
そう言うと男性は喫茶店を出ていってしまった。
「感じ悪いねー」
スピアが言ってくる。
「ああ、なにか知ってる風だったな」
と俺も返答する。
「太陽の人達って言ってましたね。星星の人達が働きアリだとも」
ユミがそう言うので、俺はぎょっとして、
「ユミ。今の会話が聞き取れたのか?」
と言った。
「はい、はっきりと太陽の人達と星星の人達について聞こえましたよ」
「スピアさん、アックスさんはどうでしたか?」
「あたしも聞き取れたー。今までこの事について話してたんだね」
「儂も聞こえたぞ。まるで太陽の人達の方が偉い、ような言い方だったな」
「なんでみんな、いきなり会話が聞こえるようになったんだ?」
「なにかがトリガーだったんじゃない?」
「デネブに来たから、というのはどうでしょうか?」
「いや、それはないな。それなら初日に俺と曲芸士のギルド長の会話も聞こえていたはずだ」
「それならば、三日目に入ったのが原因か、先ほどの男が原因だろう」
「アックスの意見に俺も賛同だ」
どちらにせよ、これで星星の人達と太陽の人達について、話しやすくなった。
「今まで俺が何を話しているか、分からない時があったと思うが、それは全部星星の人達と太陽の人達についてだったんだ」
「そうだったんですか!?」
ユミだけ異常に驚いている。
「まあ、そんなことだろうと思ってたよ」
と余裕のスピア。
「儂はそもそも仕様で聞けないことがあったようななかったような感じだ」
「もう、アックスさんボケちゃったんですか?」
あはは、と笑いが起きる。
「すまん、すまん。ただそんなに気にすることではなかったみたいだな。こうしてみんなで話せるようになったしな」
ナイス、アックスのポジティブ発言。
「星星の人達と太陽の人達は敵対しているわけではないんだが、今みたいなことが書籍にも書いてあるんだよな」
「太陽の人達が上で星星の人達が下ってこと?」
「いや、そこまでハッキリとは書かれていない。太陽の人達は三千年前から存在していて、星星の人達は千年前から存在している、という感じだ」
「じゃあ、自分達の方が先に存在しているから、星星の人達をないがしろにしていいってことですか?許せませんね」
「そういうことなのかなぁ。なんか違う気もするんだよなあ。そうすると、黒髪の黒目の人達は一万年以上前から存在しているみたいだし」
「どうせ弱いものいじめがしたいだけだよ」
スピアが言う。
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