隣の大陸のギルド
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まずやってきたのは、斧士ギルド。アックスだけが入れる。
客人として入ろうにも、アックス自身が初めてだからな。しょうがない。
アックスは十分ほどで出てきた。
「うむ。悪くない」
どうやらこの短時間で、お酒を一杯ご馳走になったようだ。
次に向かうのは、弓士ギルドだ。ユミも十分ほどで出てきた。どうやらまた、お酒をご馳走になったらしい。
その次に向かったのは、槍士ギルドだ。スピアが中へ入っていく。なかなか出てこない。三十分も経った頃、ようやく出てきた。
「お酒の匂いです」
ユミが言うように、スピアは酒臭かった。事情を聴くと、どうやら
「私よりもお酒を呑めたら、料金をタダにしてあげる」
と言われたらしく、強いお酒を呑みまくったんだとか。相手は降参して、スピアの飲み代はチャラになったとのことだった。
最後に向かったのは、曲芸士ギルドだ。俺とユミが入る。すると、意外にも曲芸士ギルドは繁盛していた。それだけでも驚きなのにここにいる全員が曲芸士なんだとか。
「お二人さんも曲芸士かい?」
ギルド長のおじいちゃんが、語りかけてくる。
「「はい、そうです」」
「仲が良いようで、結構なことだ」
「あの、どうしてこんなに曲芸士ギルドが繁盛しているのですか?」
俺は聞かずにはいられなかった。それほど、マグナスとは栄え方が違う。
「なあに、曲芸士になりたい人が多いから、繁盛しているだけじゃよ」
「そうなんですね。それともう一つ。私の容姿を見て何か思うことはありますか?」
俺は思いきって、質問した。
「ああ、星星の人達だな、と思うことはあるよ。この国から追い出したはずのね」
衝撃的ひとことを言われた。
「何を話しているんですか?」
「悪い、ユミ。仕様で答えられん。それとしばらく、俺とギルド長の二人に話をさせてくれ」
「分かりました」
「まあまあ、とりあえず、飲み物でも飲みなさい。無料だから、気にする必要はないよ」
「じゃあ生ビールを下さい」
「私も同じものをお願いします」
ゴクリ、と一口ビールを呑む。苦味の強いラガーと呼ばれるビールだ。ユミも隣で一緒に呑んでいる。
「この国から追い出した、とはどういうことですか?」
「そのままの意味ですよ。星星の人達は遺伝の問題で増えやすい。だから太陽の人達のために、星星の人達を追い出したのです」
そういえば、ギルド長も太陽の人達だ。
「太陽の人達は星星の人達が増えるのを不安に思っているのですか?」
「そうだね。一般的にあちらが優先遺伝だからね」
そう言って、ギルド長もビールをゴクリと、一口呑む。
「だから、追い出した。そういうことですね。私も街中でひそひそ話をされましたから」
「追い出したは言い過ぎではないかな。マグナスに避難したと言うのが真実だよ」
「じゃあ俺がひそひそ話をされたのは、単に珍しいからってことですか?」
「うん。大分口調も砕けてきたね。良いよ、その調子だ」
「敬語を使わなくて良いなら、俺としてはそちらの方が助かります」
「出会って初日に、敬語を使わないのも変だろう。このままが良いと思うよ」
「ですよね」
まあ、こういう時もある。
「それよりビールを呑んでいきなさい」
「ありがとうございます」
俺は一口しか口のつけていなかった、ビールを呑む。いつものビールとは違うが、ラガーも美味しい。
グイグイ呑んでいき、最後まで飲み干した。流石にアルコール度数5%のビールでは酔わない。
「それじゃ、お話ありがとうございました」
「ビールごちそうさまでした」
そう言って、俺とユミは曲芸士ギルドを出る。
二十分ほどかかってしまったようだ。
「お待たせ」
「お待たせしました」
「別に良いよ」
「儂も同感だ」
「何か重要な話は聞けたの?」
「ああ、そこまで重要じゃない話は聞けたよ」
そしてホテルへ向かう四人だった。
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