ダーツのプロへ
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01でも20のトリプルを当て続ける。先に俺が勝利した。奈央も頑張ったが、プロ相手にはどうしようもない。
「いやあ、01でも20のトリプルですか。相当自信があるんでしょうね」
「はい、勝利するのに絶対条件だと思っていますから」
「絶対条件ですか。これからのダーツ界は変わりそうですね」
「今は主流がハットトリックですから。ところでプロになる話考えてくれましたか?」
そこへゴッドファーザーが届く。ゴクリと一口呑むと、甘さが口の中に広がった。ゴッドファーザーなんて名前のカクテルだから、もっと辛口のお酒かと思っていた。今度リンにリクエストしよう。
プロになるかどうかの話だが、
「私は、いや俺は、ダーツのプロになって世界一を目指そうと思います」
「世界一か・・・大きく出ましたね。でも伊原さんなら、すぐにでもトッププロの仲間入りをしますよ。才能があって羨ましいな」
そりゃプロなのに、始めて三日目の奴にボコボコにされたら、少なからずショックを受けるだろう。なぐさめるのも違うと思うので、そっとしておいた。
「さてクリケットの時間です。今度こそ負けませんよー」
森崎さんは自分を鼓舞している。
「クリケットも俺が勝ちますよ」
あくまでも、強気な俺。
クリケットの先攻は森崎さん。20のトリプルに三本入れられて、トン エイティーを出されてしまった。まだ勝負は始まったばかり諦めるには、ちょっと早すぎる。
俺は後攻で、20のトリプルに一回当てて、それから19のトリプルに二回当てた。
「これくらいでは緩みませんね」
森崎さんは19のトリプルに一回当てた後、18のシングルとダブルに入れた。
ここはチャンスだ。18のトリプルに一回当てて、17のトリプルに二回入れる。これで55点。40点の森崎さんから、逆転した。
「まだまだぁ!」
森崎さんは、17のトリプルに入れると、16のシングルとダブルに入れた。
俺は冷静に16のトリプルと15のトリプル、ダブルブルに一回入れた。
絶体絶命の森崎さん。ブルに三回入れる。だが、俺もブルに一回当てて、試合終了となった。
「上手すぎですよ。伊原さん」
ゴッドファーザーを呑みながら、そう言われる。
「世界一が目標なので」
と俺は答える。
「クリケットも惨敗か。明日ちょうどプロ試験があるから、受けてみないですか?」
「渡りに船です。絶対行きます」
「場所は電車で二十分のところです」
「教えて頂き、ありがとうございます」
その後もダーツをしたが、俺の全勝だった。緩めて、わざと負けることも出来た。だがそれは、双方のプライドに傷が付くだろうから、やめた。
「時間は朝の九時からです。遅れないようにして下さいね。今日の様子だと平気そうですけどね」
「わざわざご丁寧にありがとうございます」
今夜は二十二時でお開きとなった。
家に帰ったところで
「本当にダーツのプロになるの?」
「ああ、俺にはダーツのセンスがある。ダーツ一本で食っていけるさ」
「人生を決めるって、とっても難しいことだよね。分かった。あたしは健二を応援する」
「ありがとう」
家でもフォームの確認をする。特に乱れてはいないようだ。
疲労もあってか、今晩は早く寝たい気分だ。お酒も抜かないといけないしな。
そうして明日のために、普通に寝るのだった。
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