図書館にて6
レイアから、重要な話が聞けた。もっと太陽の人達について知るべきだ。そう考えた俺は、二十四時間営業の図書館へ向かった。
児童書で「となりのたいりく」という本があったので読んでみる。
うみのむこうがわ。
とおくはなれたところに、りくちがあるよ。
そのたいりくはおおきいんだ。
きんぱつに、きいろのめをしたひとたちがすんでいる。
うまれつき、からだがつよいんだ。
でんしょうでは、おにもたおしたみたい。
ほんとかうそかはわからない。
ここで絵本は終わっている。
ポーンと頭の中で音がする。自動翻訳がレベル12になったようだ。
例のごとく、司書さんに「となりのたいりく」に関連する書籍がないか、聞いてみる。
「少々お待ち下さい」
持ってきてくれた本は「隣の大陸について」という本だ。
読んでみる。
隣の大陸は太陽の人達が支配している。軍事力が国にとは桁違いなので、いつ戦争にならないか怯えて暮らす日々である。しかし、戦争は起きない。上納金のおかげだろうか?この国のお金が隣の大陸に流れていることは既に分かっている。それだけで戦争は起きないものなのか、不思議に思う。
太陽の人達と星星の人達は別に敵対しているわけではない。ただ星星の人達が迫害受けていることは確かだろう。
このような文章が書かれていた。
迫害か。今ではそんなこともないのだろうが、気になる。でもレイアには絶対聞いてはいけないものだ。
本を返却し、悩む。隣の大陸に行くかどうかみついてだ。
今の俺は星星の人達だ。迫害などないと思うが、好奇の目で見られることは覚悟した方が良いだろう。メンバーはいつもの四人で良いか。
三人にチャットをする。
「隣の大陸に行きたい。マグナスに集まってくれないか?」
「了解」
アックスから一番に連絡が来た。
「ただし、今ギッシュにいるから、今日中は無理だぞ」
「別に急がなくて構わない。今日は俺もリアルの夜用事があるんだ。だからログイン出来ない」
「そうか、じゃあまだ筋トレ出来るな」
アックスの隠しパラメーターはどうなっているのだろうか。気になる。
次に連絡をよこしたのは、スピアだ。
「りょーかい」
と簡潔に書かれている。
最後にユミから
「私も行きます」
と連絡が来た。そこで
「急がなくて良い。リアルの明日の夜を目標に、してみよう」
と送った。
すると、アックスから
「具体的で分かりやすい」
ユミからは
「分かりました」
と返信が来た。
最初から日時を指定しておけば良かったな。と今更ながら思う。
みんなに連絡を取ったし、今日は図書館で朝まで時間を潰そうかな?
そうして時間を潰していると、
「ケンお兄ちゃん?」
コウが現れた。
「本を読んでいるの?」
「ああ、そうだ」
「僕も本を読みに来たんだ。隣座って良い?」
「良いぞ。コウも自動翻訳のスキルを持っているんだな?」
「うん。物語の進行上必要になる。スキルだと思ったからね」
「ところでケンお兄ちゃんは星星の人達になったの?」
「うん、実はそうなんだ。よく気づいたな」
「本をキチンと読んでいれば、星星の人達の容姿については書かれているよ」
「そうか。そうだったかな」
児童書を片っ端から読み漁っていた時のことを、思い出す。
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