ダーツプロとの出会い
この日はダーツづくしの一日だった。クリケットでも好成績を修め、勝利した。
すると男性が近くにやって来て、声をかけられた。
「すみません。プロの方ですか?」
「いえいえ、滅相もないです。始めて二日目の初心者ですよ」
「ええ!?その成績で、始めて二日目なんですか?」
「はい、ダーツバーで投げるのは、今日が始めてです」
「こんな逸材が近所にいるとは思いもしませんでした。どうでしょう?プロを目指してみては?」
「プロですか、・・・どこか遠くの人達というイメージを持っていましたが、私にはそれだけの才能があるということでしょうか?」
「はい。それは保証します。何て言ったって私がプロですから」
「申し遅れました。わたくし、森崎瑛士と申します」
「これはご丁寧にどうも、伊原健二です」
「今の話、真剣に考えてくれませんか?」
「はあ」
「おっといけない。もうこんな時間だ。チャットの交換だけしましょう」
「良いですよ」
「それじゃまた。彼女さんも十分上手かったですよ」
「ありがとうございます」
そうして森崎さんは姿を消した。
「健二凄いじゃん。プロから誘いが来るなんて」
「ああ、俺が一番驚いているよ」
「これでクリケットで確実にトリプルに入れれることになれば、完璧なんだがな」
「プロお墨付きなんだし、すぐにトリプルにも入れれるようになるって」
「じゃあ閉店までクリケット、付き合ってくれるか?」
「勿論、良いよ」
またお酒を注文しながら、クリケットに勤しんだ。
今日一日で随分ダーツの腕前が上達したように思う。クリケットは先攻なら、20のトリプルに三回とも入れれるようになっていた。
「後は後攻の時、19のトリプルに確実に二回入れることだな」
こうして課題も見つかったところで、閉店近くなったダーツバーを後にした。
「今夜はLGどうする?」
「もう十二時過ぎて遅いし、普通に寝るわ」
「分かった。じゃああたしもそうする」
シャワーだけ浴びて、就寝した。
朝早く目が覚めたので、料理を作りにキッチンへ向かう。先に奈央が料理していた。
「昨日は遅かったのに、いや正確に言えば今日か。今日は遅かったのに随分早起きだな」
「それは健二も一緒じゃん」
「お酒を呑むと、どうも早起きになるらしい」
「そっか。あたしも一緒かもしれない。朝早く目が覚めちゃった」
「それより、料理手伝うよ」
「ありがとう。じゃあピーマンの肉詰めをお願いしよっかな」
「了解。朝から凝ってるな」
「うん。早起きしたからね」
そこからは黙々とピーマンの肉詰めを作っていく。焼いて、お皿に盛り付ける。
「こんなもんで良いか?」
「うん、上出来!」
奈央の方は炊き込みごはんを作っていたらしい。部屋中に炊き込みごはんの良い匂いが立ち込める。
「「いただきます」」
二人は朝から豪勢な食事を摂っていた。
美味い、美味しい言いながら食べる食事は格別だった。
昨日の森崎さんからチャットが入っている。
「今夜、一緒に練習しませんか?彼女さんも一緒で大丈夫です」
「奈央。こんなチャットをもらったんだけど、どうする?」
「あたしはLGもやりたいんだよなー。迷うなー。でも健二に着いていく」
「分かった。その旨で伝えておく」
「夜の八時からだったら、彼女も一緒にで大丈夫ですよ」
「それは良かった。君のような逸材を眠らせておくのは、ダーツ界にとって損でしかないからね」
「いやいや、言い過ぎですって」
「私もその時は本気でいくから」
「了解です」
そこでチャットは終わった。
評価よろしくお願いします。
ブックマークも忘れず、お願いします。