ダーツ
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トマトレタスハンバーガーを食べ終わった俺とユミは、曲芸師ギルドでくつろいでいた。
「何か遊ぶものはないか?リン」
「それなら、ダーツがあるぞ」
と言って、ダーツ台を指差すリン。
「あれ?これ前からあったっけ?」
「私も覚えがないです」
「ふふふ、貯金して買ったのだ。一時間あたり1000ゴールドで遊べるぞ」
「安いのか、高いのか分からんな」
「お酒を呑みながら出来る、と考えれば安いんじゃないでしょうか?」
「ふむ。リン、一人頭1000ゴールドか?それとも二人で1000ゴールドか?」
「二人で1000ゴールドで良いぞ」
「じゃあ500ゴールドずつ払って、遊んでみるか」
「賛成です!」
「はい、じゃあ500ゴールドずつ頂くぞ」
「ユミはルール知ってるか?」
「はい。心得ています」
「俺は知らないんだ。悪いけど、教えながらダーツしてくれないか?」
「良いですよ」
「まずは、カウントアップから遊んでいきましょう」
「カウントアップってなんだ?」
「カウントアップは、点数を積み上げていくゲームです。最終的により高得点を出した方が勝ちですよ」
「なるほど」
「足は少し斜めにして投げると良いです」
「分かった」
「それと最初はブルと呼ばれる真ん中に当たるように投げましょう」
「うし、それじゃ実戦だ」
ユミはダーツがとんでもなく上手かった。俺はあっちこっちにダーツを飛ばし、悲惨な結果だった。ただし偶然、トリプルと呼ばれるゾーンに当たったときは嬉しかった。得点がその数字の三倍だからだ。
そしてユミが上手いと言ったのには、理由がある。各自三投ずつ投げるのだが、確実に二投はブルに入れてくるのだ。初心者の俺では話にならない。奇跡で二十のトリプルに当てるしかない。
だから、ここは瞑想の使いどころなんじゃないかと思った。
「すまんが、時間をくれ」
「分かりました。その間私は、オンラインで遊んでますね」
瞑想を開始する。ユミの体の動きをトレースする。体に芯が一本通っていて、ダーツが放たれるまで腕にブレがない。
十分ほど経過して、
「よし、分かったぞ。もう一度カウントアップをしよう」
とユミに提案した。
「はい、このゲームが終わったら良いですよ」
「今はなんと言うルールで遊んでいるんだ?」
「これはクリケットと言って、陣地取りゲームのようなものです」
「はい、終わったので良いですよ。カウントアップしましょう」
「よし、俺の上達具合を見て驚くなよ?」
「驚くも何も、ケンさん椅子に座って目を閉じていただけじゃないですか」
「ふっふっふ、それだけじゃないのだよ」
「ユミの先攻で頼む」
「分かりました」
バシュン、バシュンとブルに二回入れてくる。
「はい、ケンさんの番ですよ」
「見てろよー」
バシュンとブルに一回入れた。
「どうだ?」
「凄いです!フォームもこの十分間の間に劇的に安定してきています」
「これが俺の瞑想の効果なのだよ」
と、ちょっと調子に乗ってみた。
「でも、まだまだ負ける気はありませんよー」
ユミはまたしてもブルに二回入れてきた。
気にしない。集中、集中。
するとブルに三回当たった。
「す、凄い!ハットトリックです」
「ダーツを三本ともブルに入れたから、ハットトリックか。イカしてるな」
「ケンさん、ホントに初心者なんですよね?こんなことが出来るなんて才能ありますよ!」
「ありがとう」
って言っても瞑想の力だから、他の競技にも応用が利きそうなんだよな。ユミに言ってもちんぷんかんぷんだろうから、言わないけど。
LGの世界で出来たなら、リアルでも出来るはずだ。奈央でも誘ってダーツバーにでも行ってみるか。
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