トマトレタスハンバーガーの味
八百屋のおっちゃんにサービスしてもらったところで、
「んじゃ、帰るか?」
とユミに問いかける。
「ええ、帰りましょう」
と言うユミに対して、
「やっぱ、用事思い出した。ユミもアックスの様子見に行くだろ?」
と言うと
「良いですね」
と乗り気である。
スポーツジムの前まで来ると、ちょうどアックスが出てくるところだった。
「よう、アックス久しぶり」
「お元気でしたか?」
「ああ、ケンにユミか。お疲れ様。おかげさまで元気にしてるよ。そっちはどうだ」
「ああ、リアルでちょっとあったけど、元気だぜ。ところで、またでかくなってないか。その腕とか脚とか」
「私も元気です」
「やはり分かるか」
「上腕二頭筋、上腕三頭筋、三角筋、僧帽筋、大腿四頭筋、 大腿二頭筋をいじめぬいたからな。自分でも納得しているぜ」
「イケおじですねぇ」
「イケおじ?なんだそれは」
「イケメンのおじさんってことですよ。アックスさん」
「ほうほう。悪い気はしないな」
確かにアックスの年齢を考えると凄い筋肉量だ。
「儂もリアルで良いことがあってな。ボディビルの大会で優勝したんじゃ」
「おめでとうございます。日頃の筋トレのおかげですね」
「おめでとう。アックス」
「二人ともありがとう」
「儂はこれから用事があるから、落ちるな」
「分かった」
「分かりました。お気をつけて」
ひらひらと片手を上げて振る。
その後ろ姿が、妙にかっこいいと思ってしまった。絵になる。とはこういう時に使うのだろう。
「俺達はマグナスへ帰ろう」
「はい」
ギッシュを出て、ベルセイユに向かう。山道は、途中休憩をはさみながら登っていった。そして山頂へ着くと、
「やっほー!」
「やっほー」
ユミもさっきの俺と同じ事をしていた。それがおかしくて、笑っているとユミに赤い顔で怒られた。
「もう!笑わないで下さい。一回やってみたかったんですから」
「悪い。けど、笑っていたのは馬鹿にしてじゃない。さっき俺も同じ事を一人でしたからさ」
「そうだったんですね。怒ってしまってすみませんでした」
「それじゃあ、一休みしたら下山するとしようか」
「はい、分かりました」
十分に休息を取った後、下山を始めた。ベルセイユに着くと、転送装置を使って、マグナスへ行った。
そして、ユミと二人でリンの待つ、曲芸師ギルドへ向かった。
「リン、買い物してきたぞ」
「頼まれごと完了です」
「おお、ケン、ユミ、ありがとう」
「これでトマトレタスハンバーガーの注文が入っても、いつでも対応出来るな」
「リンの言うとおりだ。という訳でトマトレタスハンバーガー一つ頼む」
「あ、私もお願いします」
「納品する」
俺とユミは、トマトとレタスを納品した。
「これは報酬だ。少ないけど受け取ってくれ」
5000ゴールドを手に入れた。
十分大金だ。大切に使うとしよう。
「ほれ、出来たぞ。トマトレタスハンバーガーだ」
「おお、どれどれ?」
「楽しみです」
俺とユミは、ぱくりとトマトレタスハンバーガーに食いついた。
「美味い!」
「トマトとレタスがシャキシャキして美味しいです」
「そうかい。二人が喜んでくれて良かったよ」
「油っぽさも消えて、格段に美味くなってるぜ」
「そうそう。それは我からの奢りだから気にするな」