あなたのために咲く
やりきれない気持ち
抱えたわたし
髪を揺らしながら
気づけば啖呵を切り
住み込みの居酒屋を
とびだしていた
通り雨に降られて
少しずつ
隠してた涙を溶かし
誰にも見せたくない姿
息を切らして
人目をさけて
裏通り抜けた桟橋に
なつかしく愛しい
あなたの姿を見つけた
この目には熱い日々
ふたり駆け抜けた夏
何かがよみがえる予感
夢見の時間が訪れて
今ある悲しみ連れ去った
このまま胸のつっかえ
とこしえに消して
閉じた瞳に
祈りを込めた
土砂降りの夜にわたしが
あなたを置いて
あなたの嘆きで枯れる声
素知らぬふりで
背を向けたっけ
若く幼いあなたを
踏みにじり
姿を消したこの未来
この雨は今も
あなたとの距離を
埋めさせてはくれない
選んだ未来
つらくても
戻れない季節の中を
ふたりは歩いてきたのに
わたしだけ
いつもこの橋の上で
濡れる瞳が逃避行
ありもしない夢の途中
くりかえして一人
もう遅いよねと
つぶやいて一人
馬鹿よね
通り雨が過ぎたようね
閉じていた瞳
店先に向けた
重い足取りとぼとぼと
いっそ心を外して投げ捨てて行きたい
まだ晴れ切らない空
見上げると
そこに差しかける
一本の傘が
わたしの頭上を包んでいた
ああ どうか神様
笑顔で振り向く勇気を
わたしにください
雨が上がった訳じゃない
傘が雨をさえぎっただけ
名前の呼び方
相変わらずなんだもの
年下の男の子はいつまでも
相変わらずなんだもの
だけどわたしは
あなたのために
変わりたいよ
今度こそ
笑顔で振り向いて
あの夏の日のあなたに応えたいの
ずっとこの胸に生きていた
あなたのために




