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僕はさよならが痛い

こんな日に限って抜けるような青空が憎い


感傷に浸りたいのに空はカラッと晴れている


雲が北風に流されてなんて景色も見えやしない


君だったら何処か遠くへ走り出すかも知れない


汗を掻くのが好きだった君なら





どうして君の事をすぐに思い浮かべるのだろう


もう君とは絶交したんだ それなのに


今まさに別れて来たばかりじゃないか


泣きたいよ すごく泣きたい でも


ちっとも涙の奴は 込み上げてくれないんだ


悲しくないのかも知れない よく分からないけど


ずっとずっと友達だったのに





君はその目に涙を溜めていたね


声を漏らさず堪えていた 悔しかったのが伝わってきたよ


かすかに口元が震えていた 何かを言いたげだった


それすら堪えていたね きっともう


口も聞きたくなかったから 喉まであった言葉


胸の内で噛み殺していたんだろう


僕も同じなんだよ 傷付いているのは


だって君は僕に嫌いだとかは伝えてこない


何処がダメで直して欲しいとか何も


もう期待すらしてくれないばかりか


ただ一言、




「こ、怖いです…」







一体どうして そんなエグい言葉で僕から遠ざかるんだ


君があんまり寄っかかるから重くなりすぎた心の痛み


つい突き放した言い方をした でも


すぐに謝りに行った 


君はもう震えていた


僕だっていつでも強くはないよ


僕の気持ちは君には受け入れられず


その吐息が耳をかすめようと 髪を揺らそうと


僕の声は君にとって 獣の咆哮であるかのようだ





君はズルいよ いつでも僕が強者で君はか弱い何か


君はズルいよ そのか弱さの盾でこの世で最もエグい


人心破壊も兼ね備えた結界を張った


謝れば謝るほど 君だけが正当化されていく被害妄想の盾


僕だけが堪え続けて心に刺さった多くの矢の傷も


自分で手当てをし続けてきた




君に癒してもらったのは遠い記憶だけだ 僕は


いつの間にか君の全てを請け負う受け皿になっていた




僕は自分も君の事も守ろうと思っていた


互いの未来を考えた だから


いつも僕が折れていた  君はズルいよ




甘やかし過ぎたのは僕の落ち度だよ だから


責任感じてはいた いつか君も強くなってまた


幼い頃 缶蹴りの缶で切った指先ちゅうっと


優しく吸って消毒 もう泣かなくていいよって


あの時の温もりある言葉と共に 僕の方が


強く成り過ぎたのか



泣き虫のままで ずっといれば良かったね


僕の落ち度で僕の命に刺さった痛みの粒子群


次はどんな()が吸い取ってくれるのかな



時間とは自分自身の作品を一部、ノベルアップ+、カクヨムにも掲載しています。基本的に同文です。

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