心の弱さ
ありがとう
ここはアキラ達からもらった木の家に来ていた。
レイジは放心状態であったがラグ、ヒマ、テリア、シェードの4人は心配をしてレイジの側に寄り添っていた。
レイジにとってその事が何より嬉しかった。
ラグ達はレイジに優しく抱きついたりキスをしたり舌を絡ませあったりして、レイジを慰めていた。
レイジ自身、勝負に負けたことよりも自分自身の心に負けた事が
何より、辛かった。
だからレイジは逃げる様に、ラグ達に抱きついたり、キスをして、イチャイチャしながら現実逃避をしていた。
レイジは、なんとなく、時間がたてば、自分の心に整理がついて解決するのでは?と思っていた。
ラグ達は、空間収納ボックスから[クッキー][ドーナツ][カステラ]を出した。
ラグ達はレイジに食べてもらえる様に口に近づけると食欲が無かった為かレイジは口を開けなかった。
ラグ達は仕方がなく、自らの口に[クッキー][ドーナツ][カステラ]を入れて咀嚼した。
その後、ラグ達はレイジの口にキスをする様に自分達の唇をレイジの唇に近付けてキスをしながらレイジの口を無理やりこじ開けて咀嚼した[クッキー][ドーナツ][カステラ]を入れた。
レイジの口の中は甘い香りと甘い味が口の中いっぱいになり満たされて、忘れていた食欲が湧いてきた。
レイジのお腹が急に鳴りだしたので、ラグは嬉しくなり食事の準備を始めた。
ラグはレイジの体調を気にして消化に優しいあっさりとしたスープとやわらかいパンを用意した。
レイジはスープにパンを浸して食べると美味しかったので、ラグの顔を優しく微笑みながら見た。
「美味しいよ、ありがとう」
ラグはレイジの言葉を聞いて嬉しそうに泣いた。
レイジが周りを見渡すとヒマ、テリア、シェードの3人も泣いていた事に気付き、レイジは申し訳なくなって、眉を寄せながら感謝した。
「みんな 心配かけたね ごめんね ありがとう」
ラグ達が嬉しそうに代わる代わるレイジの背中を優しく抱きしめて喜んだ。
王宮に戻るとお爺さんと両親に心配されて、今回の事を説明して、なるべく穏便になるようにお爺さんにお願いした。
翌朝、レイジが学園に行くとクラスメイトが笑顔で迎え入れてもらえて、レイジは嬉しくなった。
今回の事で人族達は収入が増えたので、人族達は希望が湧いて、充実した日々を送っているという話を聞き、レイジの心は満たされた。
レイジ自身、みんなの幸せそうな笑顔が見れて良かったと思った。
その日の学園の帰り道、街のかけ橋の上にシェードが川を眺めている姿をレイジは見つけたので声をかけた。
「シェード、どうしたんだい?」
シェードはレイジの顔を見て、元気が無くなり、苦痛の顔をした。
「レイジ様、この間の試合を妨害して申し訳ありません」
レイジはシェードが何に悩んでいたのかがわかり、優しくシェードに語りかけた。
「結果…そうであったとしても獣人王の命は救われたし、あの時、シェードが止めなかったら、獣人王は死んでいた、僕は、その事を後悔した。だから、あの時の僕達の試合を止めたシェードには感謝しかないよ」
シェードはレイジにそう言われても納得いかない様で眉を寄せて苦痛の顔付きになった。
「私のせいでレイジ様は、私のせいでレイジ様の心に傷痕が、遺恨を私がつけてしまいました」
とシェードは泣いていた。
最愛のレイジ様を、大切なレイジ様を、自分がレイジ様の心を傷付けた事に後悔をしていた。
レイジはシェードの手を取り、体を引き寄せ優しく抱きしめた。
レイジはシェードの目を見ながら唇をシェードの唇に近付けてキスをした。
「ありがとう。シェード、今回の事は、僕の心が弱くて起きた事だから、僕がもっと上手く出来れば、こんなことにはならなかったんだ。ごめんね…シェードに辛い思いさせて…」
今にも壊れそうな宝物を大切にとても大切に包み込む様にシェードを優しく抱きしめた。
王宮に帰ったレイジ達は、ピエール王より獣人王の食事会の誘いのお話を聞いた。