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第3話 日中安全保障条約締結

「一体どういう事なんだ!?」

先程の無線連絡から2時間後。

嘉弘や秋菜たちは当初予定していた東京の高尾山にある『救国連合(全国の保守、右翼、民族派団体の連合体で日本最大の反政府団体)』のアジト兼地下倉庫への帰還を取りやめ、長野県上田市の『救国連合』第3諜報部に来ていた。

目的は勿論先程の無線の真偽を確かめるためだ。

「無線で連絡した通りです。総理大臣は昨日15時頃、電撃的に中国を訪問、中国首脳と会談を行った後に日中安全保障条約に調印、直後に日米安保条約を破棄しました。動きは前から掴んでいたのですが、あまりにも早い締結で、東京の第1諜報部は大混乱に陥っています。それと、米海軍の原子力空母と護衛艦が危うく海上保安庁によって拿捕されるところでしたが、なんとか脱出出来た模様。さらに、本日中にも中国の第2空挺軍が厚木に到着するようです」「なんてこった……」

嘉弘は失望をあらわにしつつ、状況の打開策を考えはじめる。

政府に申し入れるのは無意味だ。

現政府は完全に中国の犬と化している。

街頭演説などすればたちまち人権擁護委員会の餌食となってしまう。

また、街頭演説はたいした意味を持たない。

何故なら日本国民の殆どが右翼・保守系団体を暴力団の類似品だと考えているからである。

そこで、一つの案が浮かんだ。

中国の太平洋進出を快く思わない国家の助けを借りるのだ。

筆頭は勿論アメリカ合衆国だ。

日本と言う防波堤が消滅して最も困るのはこの国である。更に言えば、日本の技術力と経済力が中国に加わる事は旧西側国家自体の存亡の危機となる。

次にロシア。

ロシアと日本の間には北方領土問題があるが、基本的にロシアにとって最大の敵とは中国である。

また、日本を中国に占領された場合日本海にあるほぼ全ての港が中国によって閉鎖されると言う危険も出てくる。

この両国の助けを借りつつ、現政府への反乱を起こすのだ。

しかし、両国の支援を受けられたとしても最大の問題が立ちはだかる。

中国の空挺部隊だ。

恐らく反乱を聞き付ければ喜々として鎮圧行動に乗り出すだろう。

日本の警察が暴動の鎮圧のために行った放水などという手法は取らず、全員を射殺しようとする可能性が高い。勿論こちらにも先程盗んで来た武器があるが、自分達は所詮1民間人。

しっかりと訓練を受けた本物の兵士には敵わない。

元自衛隊員もある程度はいるが、中国お得意の人海戦術が使用されれば全滅の憂き目に遭うことは間違いない。

もしもアメリカが兵士の支援を行ってくれるならば話は別だが、それでは日本が米中戦争の舞台となって国土が荒廃してしまう。

それに、下手に兵士の支援を受けてはアメリカの51番目の州となってしまう可能性すらある。

ロシアの場合も属国化は免れないだろう。難しい問題だった。

と、ここで秋菜が口を開いた。

「高橋さん。『救国連合』の緊急総会の発動を進言します」

この問題は国家の運命を左右するもので、嘉弘だけで決められる事でも無かった。

ならば、右翼・保守・民族派団体の最高意志決定機関である救国連合総会にて今後の方策を練るべきだ、という意味だった。

「……そうだな。『救国連合』の緊急総会発動権限を行使する。理事たちに緊急通達を出してくれ。開催場所は東京都港区の『救国連合』本部だ」嘉弘は諜報部の通信要員に向かって言った。

「了解しました」

通信要員は答えるとすぐに無線機をいじり始めた。

「よし、東京に行くぞ。車を用意してくれ」



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