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第16話 負傷

今回はいつもより少し短いです。

秋菜たちはマンションから脱出し、ヘリの待つ広場へと向かう。

広場までは1キロメートル。

走って行けば10分程度で到着する距離だ。

しかし、この街には自分達が仕掛けた大量のトラップがある。

場所は分かっているが、地図を確認して歩かなければいけないため時間がかかる。

それに、中国軍もヘリ降下部隊を投入している筈だ。

確かにあのマンションの見晴らしは良かったが、海で大きく迂回されれば分からない。

マンションから50メートル程離れた所で秋菜は爆弾の遠隔操作スイッチを押した。

マンションの基礎部分が破壊され、マンションは南東方向に倒壊する。

地上に到達する瞬間、轟音と砂煙が辺りを覆った。

煙が少し晴れるまでその場で待機し、進行を再開する。


しかし、それはヘリの音によって中止を余儀なくされる。

南、北、西に3機の輸送ヘリ。

どれもが中国人民解放陸軍の物だ。

逃げられる場所は東だけ。

恐らくそこには上陸部隊がいるのだろう。

戦うべきか、それとも逃げるべきか。

ヘリの下をくぐり抜ければ逃げる事が出来るかもしれない。

しかし、もしヘリの右にグレネードランチャーやガトリングガンがあれば終わりだ。

東に逃げれば、完全に包囲されて殲滅の憂き目にあうだろう。

全ての小銃にグレネード射出器が装着されているため戦う事自体は不可能では無い。

しかし、手間取れば降下が終了してしまう。

どうするべきか。

秋菜は短く舌打ちをすると、自分の小銃に装着されたグレネード射出器に指を掛け、北でホバリングしているヘリの開け放たれた扉の中へとグレネードを叩き込んだ。

示し合わせたかのように嘉弘や他の隊員が北に向かって走り出す。

秋菜もそれを追って走り出し、そして。

西のヘリから降下した兵士に撃たれた。

当たった場所は右上腕部、左胸部、右下腹部。

それは、限りなく致命傷に近かった。

秋菜は地面へと倒れ込む。

撃たれた場所は完全に麻痺して感覚が無い。

「……!? ……!」

誰かが何かを叫んでいる。

しかし、何も聞こえない。

辛うじて目は見えたが、誰かが駆け寄ってくる事しか分からなかった。

駄目だ。

私を助けに来たら駄目だ。

叫ぼうとしたが、声にはならなかった。

見えなかったが、誰が自分を助けようとしているのかは分かった。

自分を助けようとするのは彼しかいない。

だが、彼の名前が思い出せない。

ぼんやりと、彼の顔が浮かぶが、分からない。

駆け寄ってきた人物は秋菜を抱き上げ、北へと走り出す。

他の隊員たちの近くまで来た時、その人物は秋菜を抱いたまま倒れ込んだ。

隊員たちはその人物と秋菜をそれぞれ抱き上げ、必死に走り出す。

その頃、秋菜の意識は完全に暗闇へと落ちていた。




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