第14話 爆破
若干グロテスク表現があります。苦手な方は注意して下さい。
港は硝煙の匂いと煙、そして中国軍兵士の残骸や血液によって地獄絵図と化していた。
最初に起爆されたのは上陸直前に行われた『道路工事』でアスファルトの下に敷き詰められたC4爆薬とTNT爆薬だった。
それらはアスファルトをた易く粉砕し、地面を隆起させる。
爆発の猛烈なエネルギーによって兵士は吹き飛ばされ、破砕されたアスファルトは兵士たちに追い撃ちをかけるように降り注いだ。
爆発した地面の周辺は兵士の肉片や血液によって赤く染まり、血液が蒸発したせいか、それともただの錯覚か、そこ一帯の大気は赤みを帯びていた。
中国軍は大混乱に陥った。
戦車は逃げ惑う兵士を押し潰し、兵士たちは爆発が起きていない西に逃げようとして押し合いになり、次々と海へ落下して行く。
そして、次に爆破されたのは中国軍の兵士が編成作業を行っていた駐車場の車止めと駐車されていた車。
車止めはその殆どが固形燃料で出来ており、中心部に100グラム前後のC4と雷管が埋め込まれていた。
爆発と同時に固形燃料は木っ端微塵に吹き飛び、辺り一面が炎に包まれる。
爆発はただ単に燃料を広範囲に拡散させるために行われた。
一つ一つの効果は小さいが、300台収容可能な駐車場だと効果は絶大だった。
駐車場は一瞬にして火の海となり、中国軍は再度の大混乱に陥り、未だに無事な、東の方向に向かって走りはじめた。
それに合わせるように、一つの爆弾が起爆された。
少し前に入居が始まったばかりの28階建てマンションの柱に取り付けられた物だ。
爆破された柱は、海側。
勿論バランスを失ったマンションは海へと崩れて行き……中国軍兵士にただ一つ残されていた空白の場所を蹂躙した。
全てはこの一撃のためだった。
今回横須賀に上陸するのは6000人。
最初の爆発で500人を死傷させ、次の爆発で150人、ビル倒壊で300人から500人。
計算上では6分の1を削った事になる。
これではまだ足りない。
しかし、ビルを倒壊させた事によって中国軍を東西に分断する事が出来た。
勿論中国は各個撃破を恐れて合流を目指すだろう。
しかし、街に誘い込めばそこは地雷、爆弾と地獄が待っている。
確かに一度船に戻って他の場所で合流、と言う方法もある。
しかし、中国政府はそのような醜態は絶対に許さない。
一度上陸すれば、もはや戻る術は無いのだ。
元々中国軍は海岸線沿いに東京へと向かう予定だった。
一応、中国政府も街での襲撃の可能性を考えていたのだ。
しかし、こうなった以上一時的とは言え街へ進入せざるを得なくなった。
合流地点まではたったの500メートルだ。
しかし、そこは完全に『救国連合』のホームグラウンドと化している。
大量の散弾地雷や固体燃料爆弾、対戦車地雷。
そして狙撃部隊とセスナ特攻隊。
予定では最大で中国軍の損害は3000人を越える事になっていた。
ただし、この予想はかなりデタラメであり、当人たちも予測出来ていなかったりする。
あとはただ罠にかかるのを待つだけだった。
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