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わるふざけ

異世界転移の手引き ~君も明日から異世界人~

異世界ってこんなに身近!

 異世界転移と聞いて、諸君は何を思い浮かべるだろうか。トラック? 通り魔? 魔法陣? 様々あるだろう。全て正解である。異世界転移の方法は数限りなくあるのである。


 そんな中でも最もポピュラーなものがトラックに轢かれると言う方法である。諸君はトラックを見たことがあるだろうか。荷物を運搬するための大型自動車である。小型のものも存在するが、大型の方が殺傷能力が高く異世界に送り込む力が強いため、ここでは大型のみを取り上げる。


 まずは異世界転移するための主人公を用意する。主人公は轢死後に、重要な役割を果たすため設定は入念に練っておくほうが良い。主人公が手元に用意出来たら、おもむろに走行中のトラックに向けて放り出そう。この際、何かを助けるために犠牲になると言う体をとる方が良い。理由も無くトラックに轢かれに行くような狂人を主人公とすると、ストーリー展開に重大な支障をきたす可能性がある。理由も無くドラゴンに食べられたり、理由も無く市民を殺害するような展開になる可能性がある。無限の可能性を秘めている。これもまた一興である。創作活動は自由を旨とするため、好きな設定で良い。


 先ほどと、発言がひるがえっている事が気にかかる諸君もいるだろうが、創作活動とは自由を旨とするものなのである。固定観念にとらわれてはいけない。良いと思ったら、手のひらを返しても問題はない。主人公は、理由も無くトラックに轢かれに行かせよう。トラックの運転手からすればたまったものでは無いだろうが、あくまでフィクションである。気にしてはいけない。たまたま、狂人の自殺に巻き込まれたトラックの運転手は異世界に転移するはずである。


 異世界転移前に、神様に会わせると言うオプションがある。これはストーリーに加えても良いし、加えなくても良い。最近は、死亡理由や転移理由などを省くことも多い。理由も無く気づいたら前世の記憶を持ったまま異世界に転移していると言うのだ。常軌を逸している。しかしながら、異世界転移自体が狂気の産物なので、今さら問題にはならないだろう。


 もし神様に会わせる場合には、神に転移理由を告げさせよう。異世界を救ってほしいなど、ありきたりな物でも良いし、手違いで死んだから異世界に送るという全くもって意味不明な理由でも良い。創作活動は自由を旨とするため、転移理由も自由である。


 これでようやく諸君の考えた最強のトラック運転手は、異世界に転移できただろう。だが、まだ気を抜いてはいけない。異世界転移には、『転生』と『転移』の二種類が存在するのだ。きっと諸君は、冒頭から転移、転移と言ってきたのに、急に転生などと新しい言葉が出てきて混乱の極みにあることだろう。転生は転移に包含(ほうがん)される概念である。新しい概念では無いので安心して頂きたい。


 『転生』と『転移』の使い分けについて説明しよう。もし諸君の考えたスーパーウルトラデラックスなトラック運転手が、乳幼児に生まれ変わる場合。これは『転生』と呼ばれる。一方で、青年以上の年齢を保持した状態で異世界に突如として出現する場合。これは『転移』と呼ばれる。このような使い分けが一般的である。


 次に、前世の記憶の取り扱いについてであるが、産まれた時から前世の記憶を持っていても良いし、何かの機会に記憶を取り戻しても良い。何かの機会に記憶を取り戻す場合は、頭に衝撃を受ける、高熱を出して寝込むなどの後に思い出すと言う流れが多い様である。ただ特に理由なく、ふって湧いたように思い出すということでも構わない。諸君の自由である。特に理由も無く街路樹にヘッドバッドを繰り返していたら記憶を取り戻した、などでも良い。理由を考えるのが面倒と言うのであれば、産まれた時から記憶を持っていることにするのが良いだろう。ただし、その場合は、体は乳幼児なのに精神は大人という葛藤が描かれることが多い様である。しかし、乳幼児であっても、気にせず大人の言動をとらせるのも自由である。その場合、非常にシュールな展開が予想されるが、そのシュールさをどう処理するかは、作者の腕の見せ所である。


 ところで、前世の記憶については周囲には隠すことが多いようである。前世の記憶を思い出したなどと(わめ)いていては、狂人扱いされることが大いに予想されるためである。とは言え、諸君の考えたエターナルフォースなトラック運転手が変わり者であるならば、前世の記憶とやらを吹聴し歩くのも悪くはないだろう。


 これで、諸君の考えた背徳的なトラック運転手は無事に異世界での生活を始めることができた。ここから先は、諸君の自由にストーリーを構成すると良い。ウィキペディアから引っ張ってきた知識で産業に革命を起こしても良いし、神から授かった正体不明の力で比類なき戦士となっても良いし、些細な理由で異性から好かれてハーレムを築いても良い。思う存分に人生をやり直すと良い。現実と違い、異世界の諸君は成功が約束されているのだ。


 以上で、異世界転移方法の説明を終える。諸君の異世界生活に幸多からんことを願う。

面白い異世界ものを教えて欲しいでやんす。

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