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某日 某所 3
金色の古竜はこっちを覗き込み、言葉のようなものをふたつみっつつぶやいた後、西に飛び去った。
いつの間にか集まって来ていた他の竜も後に続く。
竜の瞳に暗い憎悪の色が浮かぶのが見てとれる。
行き先は・・・まさか。
「おい・・・やめてくれ・・・行くな」
それから、山道を馬で必死で駆けた。この怪我で帰り着けるか。
おそらく五分と五分。
震えが止まらない。流れ出る血も止まらない。
驚くほどの数の竜が、猛り狂って頭上を追い越していく。
行くな、竜よ。
それならば、私だけを殺せ。
家族を、皆を、殺さないでくれ。
行かないでくれ。
前方の空は、すでに赤黒く燃えていた。
それと同じ色の剣が背中で、かたかたと笑った。





