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某日 某所 2
左腕を折られた。頭もひどくぶつけた。
肋骨も何本かいったか。
血が目に入る。しかし、不思議と痛みはない。
手近に横穴を見つけ逃げ込んだはいいが、袋小路。もう逃げられない。
古竜は・・唸り声をあげながらこちらを覗くが、狭い入り口のせいで入って来られない。
この鎧が炎を無効化する事はもう解っているのだろう。
炎は吐いてこない。
さっきすれ違いざまに胴に一太刀浴びせはしたが、致命傷には程遠い。
こちらはあっさり片腕を持っていかれた。
勝てる相手ではないーーー
そう悟った瞬間に突然体温が下がるような感覚があった。
我に返る。
なんだこれは。
私は今まで何をしていた?
剣から無限に湧いて来ていた力が感じられなくなった。
体の痛みがひどい。
意識が切れそうになる。
竜をあんなに・・・なぜ殺した?
今までの事をあまり明確に思い出せない。
夢のようにぼんやりとした記憶。
頭の中で鐘がなっているようだ。
「待ってくれ・・・なぜ・・・」
何度も剣を握りなおしてみたが、力は戻ってこない。
これでは・・・もう竜の餌になるしかないではないか。
力をくれ。
ここから出たいのだ。
私は・・・戻らなければならないのだ。





