表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

冒険者ネクロフィリア

作者: 雪村錬太郎

 一人で死ぬのって、こんなに心細かったんだ。


 ここは毒のダンジョンの深層。私は不治の毒を食らったマヌケな冒険者だ。そしてかっこつけでもある。

 迷宮の同じ場所に留まれば致命的なことになる。深層では足手まといをつれて動くことは難しい。しかも深層での毒はどんな魔法でも薬でも治らない。

 だから私は格好をつけて、パーティーの皆に、私は良いから先にいけだなんて言ってしまった。

 馬鹿なことを言った。だって一人で死ぬのがこんなに怖いなんて知らなかった。

 私は恐れ知らずの冒険者様のはずだったんだ。だけど今は怖くて仕方がない。


 「おい…」


 誰かが話しかけてきた。死神のお迎えだろうか?それでも一人で死ぬよりは良いかな?


 「取引をしないか?」


 死神がそう尋ねてくる。なんだろう?


 「助けてくれるの…?」


 死の恐怖から逃れるように、そう尋ねる。


 「いや、お前は助からない」


 わかっていたことだけど、改めて言われると恐怖で身体がすくむ。まぁもう毒で動けないが。


 「一人で死ぬのは心細いだろう?こちらの要求を飲めば、死ぬまでそばにいて、手も握ってやる。望むなら遺言も遺体も届けてやるぞ」


 確かに心細かった。この心細さを誤魔化せるのなら、今の私は悪魔とでも契約するだろう。


 「要求って何?」

 「お前の死体を犯させろ」


 怖気が走った。あまりの気持ち悪さ、気色悪さに吐き気がしたような気がした。

 …でも、それでも私は一人で死ぬ恐怖には打ち勝てなかった。

 そして私は悪魔と契約をした。死の間際の恐怖を少しだけ誤魔化せた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] よく描かれるダンジョンの、恐怖面を強調しているところ。 [気になる点] やっぱり、その後の死神が何をしたか、でしょうか。 [一言] その先を読者の想像に任せる、という書き方が、私はとても苦…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ