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この十年はたった200文字
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ずっと心に刺さっているもの。
夢を追う彼にどうしても縋ることが出来なかった。彼の足枷になりたくないと、隠した恋心。心に残る棘。夏の匂いと蝉の声。
飛行機雲を伴って、旅立っていった夢追人を追いかけられる強さは私にはなくて、ただこれでいいんだなどと嘯いていた。そんなことを思って、忘れられなくてくすぶったままの十年間。周りが大人になり、皆過去を割り切っていく中で私は一人、それに縛られていた。
あの夏から。
あれから十年。ずっと『過去に戻れたら』と思っていた。
――今、目の前にあるタイムマシンに、ワタシは何を思えばいいんだろう。