こちら裏生徒会執行部です~アイドル暴行事件~
東京某所
「いやぁぁぁぁぁ」
1人の少女が叫び声をあげた。少女は複数人の男に囲まれていた。しかし彼女の叫びは第三者の耳には届かなかったようで少女は暴行された。
場所は代わり東京にある桐ケ谷大学附属高校の生徒会室である。
「今回で女子学生暴行事件は3件目らしいッスね」
新聞の地元の記事を読みながら記事の内容を言った。
そうするとその横でスマホを弄る少女が答えた。
「俊介って不良の癖に真面目だな」
「今は不良じゃねぇよ。元不良だ。元」
元という部分を誇張して言う少年の名は桐ケ谷俊介高校1年生だ。叔父がこの学園の理事長を務め元不良である。
そしてスマホを弄る少女の名は服部ちひろ高校1年生、服部半蔵の末裔で母親は武道家である。
「一部報道じゃ、犯行には女も含まれていたって聞くわよ」
そう言いながらキャンディを咥えながら部屋に入って来たのは花木瑠花高校3年生、父はジャーナリストで母はイギリス人であるスタイル抜群の美少女だ。
「しかも噂じゃ、無名だけど芸能事務所に所属してる子って言うし」
瑠花と共に入って来たのは、桶川健、祖父は元総理大臣で父は大御所芸能人という、たくさんの交友関係をもつ高校2年生である。
「被害届けは受理されていますが、あまり進んでいないのが現状のようですね」
そう言いながら人数分の茶を入れるのは高校2年生の雪代薫子だ、父は警視総監、母は検察官、兄はFBIに所属している。
「ということは皆さんこの件に関しては全会一致ということで」
そう言いながら5人に問いかけたのは、高校3年生の渡瀬悠一だ、文武両道で世界に誇る大富豪の三男だ。
異色ともいわれるこの6人は桐ケ谷大学附属高校に在籍する選ばれた生徒のみで構成される裏生徒会執行部のメンバーである。
「暴行された場所はここ」
「うちのブレイン達が言うから間違いないだろ」
ブレイン達というのは渡瀬悠一と雪代薫子である。裏生徒会執行部の参謀的な役割をこなすためこう呼ばれている。
「普通の公園っぽく感じるけどな~」
ちひろはあたりを見渡しながらそう呟いた。
「あっ人がいる。すいませんちょっと~」
「おい、ちひろ」
ギターを弾きながら歌を歌ってる女性の元に駆けていく。そして大きく手を振りながら、ちひろはこちらに来るように言った。
「この人いっつもここでギターの演奏してんだって。だから何かわかるかもよ?」
「はじめまして、伊藤友里恵と申します」
丁寧におじきをしたため、俊介は慌ててお辞儀をした。
「桐ケ俊介です。こいつは服部ちひろ」
「友里恵さん、ギター上手いね。芸能人?」
「一応ね、無名だけど。でもシンガーソングライターになるのが夢なの」
「かっこいい。そーいえば最近この辺で怪しいヤツ見なかった?」
ちひろは無邪気にはしゃぎながらそう友里恵に言った。
「怪しいヤツ?」
「あー、学校が不審者に気をつけろって言ってるんですよ。こいつの友達がひどく怯えてて。しかもこの変に住んでるらしいから安全確認したいって聞かなくて」
すかさず俊介はフォローを入れた。高校生が怪しいヤツを探しているなんて変に思われるからだ。
「友達思いなのね」
「友達は大切じゃん」
二カリと笑うちひろにつられて友里恵を微笑んだ。
そしてしばらくおしゃべりを楽しんでから俊介とちひろはその場を去った。
「やぁ久しぶりだね」
「久しぶりじゃないですか~桶川さん」
そう言い健の元に駆け寄って来たのはSTAR☆GIRLSというアイドルグループに所属する町風マヤだった。
「最近、ライブとかやってないみたいだけど何かあったのかい?」
STAR☆GIRLSは注目されているアイドルグループだ。売り出す機会としてはもってこいだがなぜか仕事をキャンセルしてる。その理由を問いただすために健は来たのだ。
「うーん、マネージャーさんから口止めされてるから」
「そっか、じゃあ差し入れのチョコレートケーキあげない」
「えっチョコレートケーキ?」
一流パティシエが作るチョコレートケーキ、この機会を逃せば食べることはないだろう。誘惑に負けた町風はペラペラと理由を話し始めたのだった。
裏生徒会執行部の生徒会室に戻ってきた、俊介、ちひろ、健は戻ってきていた。
「おかえり~」
そう言いながら瑠花は6人分の茶を入れ始めた。
それぞれ自分の席につき茶と茶菓子を頂きながら話し始める。
「STAR☆GIRLSのメンバーが襲われたらしいよ、それで活動を自粛してるみたいらしい」
「だから最近STAR☆GIRLS見なかったのね。メジャーデビューしたばかりなのに」
と瑠花は呟いた。
「犯行現場見てみたけど、普通の公園だったぜ。まぁ街灯は少ないけどな」
「そーそー、ギター弾いたお姉さんがいてさ。芸能人らしいんだよ。伊藤友里恵って知ってる?健先輩」
「伊藤友里恵?知らないな~、どこかに所属してんの?」
「そこまでは知らないよ」
とぺちゃくちゃと喋りだす。
「ってかさ、健、うちの学校の篠原ハナってSTAR☆GIRLSの所属じゃない、彼女は平気なの」
瑠花の問いかけに健は大丈夫と頷いた。
「今のところは、でも狙われる危険性は大かな」
「なら大丈夫じゃないじゃない」
そんなふうに口論していれば薫子が小さな声でビンゴと言った。その言葉に一同は薫子の方を見る。
「おそらくこの人が犯人でしょう」
「なんでわかるんだよー、薫子先輩」
ちひろは不思議そううに薫子が見つめているパソコンの画面を見た。
「ここの監視カメラは渡瀬財閥のものですから渡瀬先輩に言えば簡単に見ることが出来るんです」
「渡瀬財閥が監視カメラを売りにしてるのは知ってるけど、なんでわかるんだい」
「そーだ、そーだ」
健の言い分にちひろものっかり騒ぎまくる。
「時間帯ですよ、こんな夜遅く複数の男が公園に用もなければ来ません。それに日付や時間帯も襲われた時間帯と合いますから」
「なるほどねー、でどうするの。どうやって解決する」
そう言いちひろは悠一を見た。悠一はコホンと1つ咳払いをし、これからの作戦を話し始めたのだった。
深夜、篠原ハナは公園にいた。椅子に腰をかけたその途端背後から男性が数人、ハナを襲うとしたところ。
「ていやー」
ちひろが飛び蹴りをし、男達は足早に逃げようとする。そこでもの陰に隠れていた悠一と俊介が出てきて捉えた。そして気を失わせ、ちひろも飛び膝蹴りで戦闘不能にする。
「ごめんね、篠原先輩。怖かったでしょ」
「全然、大丈夫。これでみんなが助かるんなら」
バイクから降り急いで駆けつけた健は優しく篠原に言った。そして手に取り急いで篠原と共にバイクに戻ってく。そしてエンジンを駆け足早に去っていった。
公園には、ちひろ、悠一、俊介の3人だ。その3人のスマホに薫子から主犯格が逃げた方向と警察を手配したことを伝えた。
悠一のみその場に残り俊介とちひろは主犯格を追った。すぐに姿を捉えることができた。ちひろは思いっきりその主犯格の腕を引っ張った。
「確かあなたは……、どうしたのこんなとこで」
振り返ったのは伊藤友里恵だった。悪びれてる様子はない。彼女が主犯格だったのだ。
「もうわかってるんです。大人しく来てください。行きましょう警察に」
静かに丁寧に諭すように俊介は言った。しかし彼女は笑顔でしらばっくれた。その態度にちひろは我慢ならなかったのか思いっきり叫んだ
「なんの罪のない子たちを痛い目に遭わせて。最低だよ。芸能人なら芸能で勝負しなよ」
ちひろのその言葉でしらばっくれていたあの笑顔が消えた。
「……に。アンタに何がわかるのよ。私はメジャーデビューが約束されてたの。必死に下積みして。どんな仕事だってやった。5年もかかったのよ?なのにSTAR☆GIRLSとかいう若造の1人が問題起こして。私がその若造のトラブルの肩代わりさせられて。メジャーデビューが白紙になったのよ。最低?あの若造の方が最低よ」
激しく激昂し顔が怒りで赤くなっていた。
「だからあんなことしたのか、関係のないメンバーに」
俊介は哀れな目で見ながらそう言った。
「そうよ。知り合いに頼んで、あいつ以外のメンバーに暴行してもらったの。自分のせいでメンバーがダメになったら罪悪感わくもんね」
もう伊藤友里恵という公園で出会った心優しい女性ではない、ただの憎しみに呑まれた人間でしかなかった。
「私がやった証拠もないし。いい気味だわ」
「証拠はある」
俊介の言葉と同時にサイレンの音が聞こえてくる。
「今の全部、録音済みだからな」
「なっ」
警察官が駆けつけてくる足音がする。友里恵は逃げたが段差で転び足を捻ったみたいで動けずにいた。警察官が駆けつけ俊介は録音したものを渡し、悠一と合流する。
「一件落着ですね」
そう言うと3人はその場で頷いた。
後日
「ねぇ、そう言えばどうやって犯人呼び出したのよ」
ほとんどノータッチで終わった瑠花が悠一に聞いてきた。
「確かに」
健も同意する。ちひろも俊介も興味深そうだ。
「瑠花が篠原さんへいれてもらったアプリがあるでしょう。アレを使ってハッキングしたんですよ。もちろん伊藤友里恵のメールアドレスのみですけど」
その発言に4人は驚く。
「薫子、あんた驚かないの」
瑠花はそう薫子に同意を求めるが彼女から返ってきた答えは意外なものだった。
「驚きません。そもそもホワイトハッカーなんていうのもありますから。こうして犯人逮捕に繋がったのだからよいじゃありませんか」
その答えに4人はギョッとした。
「STAR☆GIRLSも解散と報じてますし、まぁいいでしょう。さぁ授業に遅れますよ。みなさん」
そう言い薫子、悠一は出ていった。
「あいつら少しは驚けよ」
と4人は叫んだ。
裏生徒会執行部
異色の肩書などを持つ、選ばれた者たちで構成されている。学生達のための正義の味方
どんな問題でももってらっしゃい。事件、オカルト、噂話なんでもOK
裏生徒会執行部は喜んで引き受けます。