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おパンティおパンティ  作者: ぬひときの
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8

ああ神よ。

パンティの神おパンティヌウスよ。

我が愚行をお許し下さい。私が悪かったです。少女の体になったことをいいことに五条さんのおパンティを道理にそぐわぬ形で見ようとした私が悪いのです。だからそんなにお怒りにならないで下さい。これからは毎日欠かさず82粒の米をお供えし、日が沈む頃に就寝し日が昇る頃に起床し、肉のない朝食を食べた後に拭き掃除をし、拝むことを忘れないと誓います。


僕はパンティ神、おパンティヌウスの怒りに触れたようであった。

僕は気づくと五条さんの目の前ではなく、五条さん宅のリビングへ移動していた。しかしここでは移動という言葉は適切ではない。

精神が移動した。

乗り移った。

僕は今日のうちに何度も精神移動を繰り返してきたが、今回の体は今までとは勝手が違うようだった。

まず、哺乳類ではない。

視界は遠くの方からよく見え、望遠鏡を常に覗いているような感覚だ。

しかも見える風景は1つではなくモニター室で監視を行うかのようにたくさんの映像が一気に見える。最初は何がなんだかわからなかったか、目が見えないというわけではないので、落ち着いてよく見てみるとどうやらここは五条さん宅のリビングらしいことがわかったというわけだ。先ほどの男が座ってテレビを見ていたからだ。

くつろぎすぎじゃね!?

と僕は思ったがどうやら声は発せないようだ。僕は自分が一体何に乗り移ったのかイマイチ確信が持てなかったが、家の壁を這っていても気づかれない、もしくは気づかれても放っておかれるような生物ならばある程度は絞ることができる。

おおかたゴキブリか蜘蛛、最悪ノミかダニといったところか…?

まあそんなことはどうでもいい。僕は今世紀最大のチャンスを逃した…

いや、違うな…試されていたのかもしれない。五条さんおパンティを自分の力で拝見すると豪語しておきながら卑怯な手を使ってしまったことでパンティの神を怒らせてしまったのだ。おかげで僕はこんな無力な体にされてしまった…

いや、無力と吐き捨てるのは早慶か。この体なら、閉まったドアも誰にも気づかれず通り抜けることができる。

僕は精神を集中させた。2つほど壁をまたいだ先に、シャワーの音が聞こえてくる。どうやらこの生物は足に聴覚があるようだった。足に振動が伝わり、音がなんとなく判断できた。

僕はリビングの扉の隙間を壁沿いに通り抜け、廊下の天井を這って洗面所までたどり着いた。一枚扉の向こうに、五条さんと少女が2人でシャワーを浴びているのが音で分かった。だが、僕はシャワールームに入る気などさらさらない。僕は五条さんに申し訳ないことをした。五条さんに合わせる顔がない。

最初から僕なんかに、彼女のおパンティを見るどころか、お付き合いをする資格すらなかったのだ。僕は最低な人間だ。この体になったのも悪くはない。反省するにはいい機会だ。僕はきっともう、人間の体に戻ることもないのだ。


「ねえ、愛ちゃんは好きな人はいる?」


どくん。

心臓が大きく高鳴る。

びっくりした。

五条さんが少女にきいたんだ。


「うん、さとしくんがすき。」


少女はそう答えた。


「お姉ちゃんは?」


どくん。


「うん?いるよ。」


え…


「同じクラスの人でね、毎日会うし、たまに勉強の教え合いっこもしたりするんだよ。」


どくん。


いやまさか…そんな、都合よく…


「その人の名前はね…」


どくん。


どくん。


僕なんか、好きな人とおパンティを秤にかけてしまうどうしようもない人間だけど…

…でも…もし…


どくん。


その言葉を聞けたなら…!



どくん。

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