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おパンティおパンティ  作者: ぬひときの
3/10

受験生の1日とはなんとも退屈なものである。一日中机に縛り付けられ、見たことのあるようなないような問題集と睨み合う。1日が終わった頃には手足の関節がまるで粘着力の弱いボンドにくっつけられたみたいな不快感を感じる。

僕は自転車でほとんど無意識にいつもの道を進みながら、今日の薄っぺらい出来事を振り返った。休み時間のくだらない雑談や教師に当てられた時の返答以外僕はほとんど言葉を発していない。いずれの受験生もそうだろう。受験とは己との闘いだと、耳にタコができるほど言われてきたがもはや耳にタコができてそのタコと悪態のつきあいでも繰り広げたいものである。「おい、その問題AじゃなくてBじゃないのか?」とタコは僕に告げるのだ。ああでもないこうでもないと平行線をたどる議論を重ねた末、答えはCなのだ。僕とタコはそんな風にして毎日ケンカをしながらもいつの間にかかけがえのない友人になっていくのだった…


「ワンワン!」


「ぎゃあああああ!」


ファンタジアムな妄想を繰り広げていた僕は走ってくる犬の存在に気づくことができなかった。僕はビックリして思わず側のガードレールに突撃した。

「ごめんなさいね~大丈夫?」

すると今度は犬の飼い主らしきおばちゃんが小走りとも言えぬゆったりとしたスピードで僕に歩み寄ってきた。僕はビックリして叫んだうえにガードレールにつっこんでしまった恥ずかしさでなにも言うことができなかった。18歳にもなってなんという醜態だ。しかし妄想していたから余計驚いてしまったなんて言えるはずもない。

僕は自転車をもちあげ逃げるようにその場を離れようとした。犬の飼い主のおばちゃんに軽く会釈して立ち去ろうとしたときだった。僕はあることに気がついた。

おばちゃんはスカートを履いていたのだ。

さっきは恥ずかしさで顔をあげることができなかったが、そんな小さな羞恥心は一瞬で吹き飛んだ。おばちゃんがフリフリのスカートを履いて散歩している姿はなかなかに奇妙なものである。しかも犬の方は普通の柴犬なのだからなおさらである。これでは犬が逃げ出しても不思議はないと僕は密かに思い笑いをこらえた。


「ワンワン!」


そんな僕の考えを見透かすように柴犬は僕に再び吠えてきた。僕は柴犬を見てみたが僕に賛成して大笑いしているのかはたまた飼い主を侮辱したことを怒っているのかはよく分からなかった。

僕はそれから家までの帰り道で妄想をするのはやめることにした。自転車も意外と危険な乗り物であると再確認したからだ。おかげで歩道のど真ん中ですやすやと寝ていた野良猫は轢かずにすんだのだった。




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