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怪物は一日にして成らず  作者: ランナー
7章 怪物の休日
300/324

299話

 日曜日。岡倉邸前に俺と梓は立っていた。

 先日の約束を果たすために訪れたのだが、いざこうして岡倉の牙城を目にすると一歩前に進む気が起きない。

 単刀直入に言えば行きたくない。岡倉に料理を教えるという事は、それだけ岡倉の手料理を食べなきゃいけないという事だ。


 「胃薬持ってくればよかったな」

 一言呟いて腹をさする。そんな俺の動作を見て梓は苦笑いを浮かべる。

 今日は梓に一口も岡倉の手料理は食べさせたくない。梓にはあの味は劇薬すぎる。なので俺と龍ヶ崎でなんとか処理したいところだが…。


 「じゃあ、行こうか」

 「…おぅ」

 気は進まないが、こうしていつまでも岡倉の家の前にいても始まらない。意を決して俺達は岡倉邸へと向かった。



 「ごめんなさいね。美奈、今達也君を迎えに行ってるところだから」

 俺と梓は今、岡倉邸のリビングにいる。

 岡倉の母親から差し出された紅茶に俺と梓は会釈をした。

 どうやら岡倉は龍ヶ崎を駅まで迎えに行っているらしい。龍ヶ崎は何度か岡倉の家に招かれており位置は知っているはずなので、待ってれば勝手に家に到着するはずなのだが、岡倉の母親曰く「達也君が好きだから駅まで行っちゃう」との事。

 話を聞いているだけで甘すぎる中毒で倒れてしまいそうだ。なんだよ岡倉の奴、もう龍ヶ崎とラブラブじゃないか。


 「それにしても君が英ちゃん君ね。私の娘の告白を断ったっていう」

 「あはは…その節は申し訳ない事をしました」

 そういってニコニコ笑う岡倉の母親に俺は苦笑いを浮かべる。

 こうしてみるとやはり親子。岡倉の母親は笑顔は歳の差こそあるものの岡倉の笑顔にびっくりするほどそっくりだ。それに加えて岡倉よりも常識人っぽい。


 「でも、まだ美奈と友達でいてくれてありがとうね。美奈ってちょっと天然っぽいから大変でしょう」

 「えぇ」

 岡倉の母親の言葉に即答していた。本当に大変ですよあなたのお子さん。

 そうして渡した紅茶を一口飲む。どうやらレモンティーのようで美味い。良い茶葉でも使っているのだろうか? 程よくレモンの酸味が茶葉の味を引き立たせている。


 「美味しいです」

 「それはありがとう。私、紅茶を入れるの得意なの」

 どうやら岡倉の料理の腕は遺伝ではないらしいし、母親の味覚を遺伝しなかったらしい。こんな美味しい紅茶を入れる人の味覚がおかしいはずがない。やっぱり岡倉のあれは突然変異なのだろうか。


 一度、リビングを見渡す。思えば岡倉の家に入ったのはこれで初めてだ。

 綺麗な家だ。リビングにもアンティーク調の家具が並び、どこか西洋を感じさえる。岡倉の母さんからは気品を感じるし、そういえば前に会った岡倉の親父さんも紳士然としていたな。

 なんでそんな家からあんな怪物が生まれてしまったんだ。


 「そういえば今日は美奈が二人に料理を教えてあげるんだって?」

 「え? あ、えぇ…」

 岡倉の母親に俺はぎこちなく返事を返した。

 そうか。岡倉の奴、そう母親に言ったのか。俺達は教えてもらう側じゃなくて教える側だけどな。


 「そういえば娘さんの作った料理って食べた事あります?」

 ふと思い、母親さんに聞いてみる。しかし母親さんからの返答はなくニッコリ笑うだけ。

 その慈愛に満ちた笑顔を見て察した。食べた事あるな。そして食べた事あるが娘に料理が下手と切り出せてないな。あるいは娘の手料理という事実が最高のスパイスになって美味しく感じているパターンだなこれは。


 「たっだいまー! お母さん! 達也君来たよ! あ! 英ちゃん、鵡川さんおはよう!」

 そうして母親さんの返答を聞く前に、バンッとリビングのドアが開き岡倉が帰ってきた。早々騒がしい奴だ。

 岡倉の向こうを見る。龍ヶ崎が顔を真っ赤にしている。よく見ると岡倉と手を繋いでいるようだ。


 「岡倉、もう着いたから手を放してくれ」

 「駄目! キッチンまで繋いでいくって言ったじゃん! あと美奈って呼んでよ!」

 ふふ、出会って早々イチャコラしやがって、関節技決めたろうか?


 「あらあらまぁまぁ」

 そんな娘を見てニコニコ笑う岡倉の母親。実物岡倉の笑顔と見比べてもそん色ないそっくり具合。さすがは親子。

 それにしても岡倉の母親も、娘の男友達がやってきてもまんざらでもない様子だ。むしろ娘の成長が喜ばしいのだろうか? …もしかして岡倉があそこまで天然で料理下手なの、この人が甘やかしすぎたのが原因じゃねぇだろうな。


 「それじゃあ鵡川さん! 料理作ろう!」

 「えぇ」

 さてさて、地獄の門は開いた。もう無事では済まされないだろう。

 今日の俺は生きて帰れるだろうか?



 キッチンでは梓と岡倉がワイワイやりながら料理を作っている。

 その様子を俺と龍ヶ崎は椅子に座って眺めている。…というより、テーブルを挟んで対面に座る岡倉の母親さんの質問攻めにあっている。

 俺も龍ヶ崎も岡倉とはなにかと関わりの深い男だ。娘さんの男友達とあらば母親も黙っていられないだろう。


 「それで達也君は美奈とどこまで行ったの? チューした?」

 「チュ、チュー!? そんな事するわけないじゃないですか!?」

 「なんだ、あそこまでイチャイチャしてるくせに、キスしてないのか」

 「するわけねぇだろ!」

 と言っても標的は龍ヶ崎だ。岡倉の母親の言葉に顔を真っ赤にして大袈裟に否定する龍ヶ崎をからかう俺。普段冷静な龍ヶ崎だから、こういう姿を見るとからかいたくなる。

 岡倉と梓の手伝いをしたいのだが、龍ヶ崎から「そばにいてくれ」と告白されてしまったので、こうして隣に座っている。

 まぁこのまま岡倉の母親と龍ヶ崎の二人で話していたら、龍ヶ崎の精神も保てないだろう。ときおり俺が仲介役なり、行き過ぎた話題にならないよう話を逸らしたり、時には龍ヶ崎を平常心にするためにからかったりして、のらりくらりと交わしていく。


 「それで達也君、美奈とどこまで行ったの?」

 「どこまでって……別に、手をつなぐぐらいですけど…」

 顔を真っ赤にして答える龍ヶ崎。顔立ち整ったイケメン龍ヶ崎が赤面する姿がたまらないのか、岡倉の母親はキャーキャー言ってる。


 「あぁやっぱり若い子って良いわねぇ。おばさんがあと20年若かったら、達也君に告白するのに」

 ニコニコ笑う岡倉の母親はしわこそあるものの年齢に比べて若く見えるし、十分通用する気がしないでもない。

 

 「こらー! 達也君は私のなんだから、お母さんは手を出さないでね!」

 そんな母親の話を聞いていた岡倉がキッチンで叫んでいる。

 私のって、龍ヶ崎は誰のものでもないぞ。


 「岡倉さん、そこはそれじゃなくて、これを入れるの」

 「鵡川さんは黙ってて! これを入れると美味しくなるんだよ! 前にテレビで言ってた!」

 「そうなの? …でもその量は…」

 岡倉が叫んだせいで、気にしていなかったキッチンでの梓と岡倉の会話が耳に入る。やばい気配、思わず立ち上がりキッチンへと向かう。


 「梓、どうした?」

 「岡倉さんが……ハンバーグに片栗粉入れてる…」

 Why?


 「前にテレビでやってたんだよー! ハンバーグには片栗粉を入れると良いって!」

 そういって白い粉がふんだんにかかったハンバーグのタネをこねている岡倉。梓が凄い不安そうな顔を浮かべている。

 いや、別段片栗粉を入れる分には問題ないけど、お前その量、どう考えても入れすぎだろう。

 これ大丈夫だろうか? 焼いたら固くなるんじゃないか?


 「…梓、ちょっといいか」

 ここで梓を手招きして呼び寄せる。そうしてキッチンの隅で小声で話し合う。


 「とりあえず初手はあいつに任せてやってくれ。その際、あいつの致命的な欠点を見つけてくれないか?」

 「うん、分かった」

 正直、致命的な欠点はすでに見えている。

 分量を気にしない適当な所と、どこで聞いたかも分からない曖昧な料理テクを導入する所、あとは初心者のくせにアレンジするところだ。あとは焼き加減の見極めが甘い所とか。何より自分はすでに一流シェフだと勘違いしている所。

 いざあげてみると致命的な欠点が多すぎた。問題はこれをどう直すかだ。

 正直、今日一日で岡倉の料理スキルが飛躍的に向上するはずがない。あくまでも今日は料理スキル向上への心構えを変えるぐらいしかできないだろう。

 すなわち「自分の作る料理は不味い」という事実を自覚させる事だ。



 しばらくして出来た。岡倉の母親は出来る頃合いになると「ちょっと買い物に」と言ってそそくさと家を出て行った。それは娘の手料理から逃げる為だと俺も龍ヶ崎もすぐに見抜いた。


 「とりあえず私が作った奴」

 そういって梓が俺と龍ヶ崎の前に置いたのはハンバーグ。それは紛れもないハンバーグ。まず最初に視覚が美味みを感じ取る。形も色合いも上にかかるソースも、どれをとっても綺麗な見た目をしている。これを見るだけでも美味い。

 次に嗅覚。ハンバーグからあふれ出る匂いが鼻腔をくすぐり、食欲を沸き立たせてくれる。

 思わず腹の虫が鳴った。もう見るだけで美味い。


 「そんじゃあ食うか」

 「おぅ」

 龍ヶ崎もどこか嬉しそうだ。そりゃそうだ。今日はまともな料理を食えないと覚悟して来ていただろうし、こんな美味しそうなものを食べれるとなったら嬉しいだろうに。


 「いただきます!」

 という事で早速実食。ハンバーグを箸先で切ると肉汁がジュワッとあふれ出る。

 そうして一つまみして口に入れる。


 「美味い!」

 そして出た感想はこれ。もう食べる前から分かりきっていたが美味い。

 相変わらず梓の料理は美味い。龍ヶ崎も「美味い」と口にしながら笑顔を浮かべてしまうほどだ。


 「佐倉、お前は良い彼女さんをもらったな」

 さらに龍ヶ崎がこんな発言までしちゃう。

 そうだよな。日々の昼飯が岡倉の弁当なんだもんな。そりゃこんな発言しちゃうよな。


 「ふーん、まぁ中々だね。でもちょっと塩分強すぎるかな」

 一方、岡倉はどこか不満そうに答えた。岡倉を一瞥する。不機嫌な顔をしている。龍ヶ崎の一言で機嫌を悪くしたと思われる。

 ってかお前、梓の料理を批評するだけの味覚ねぇだろ。

 さらに美味いと口にしなかったわりに、誰よりも食べるのが早い。そんな様子を龍ヶ崎はどこか微笑ましそうに見ていた。



 この後、あっという間に食べ終わる。正直今日はもうこれで帰りたい。

 だが、ここからが本題だ。幸せな時間はもう戻ってこない。

 本当の地獄はこれからだ。俺と龍ヶ崎は顔を見合わせて小さくうなずき覚悟を決める。


 「それで次は……岡倉さんが作った奴」

 そういって梓が俺の前に置いたのは丸みを帯びた黒い塊。なんだこれ? 鉄球? いや炭化したハンバーグか?

 一度梓の顔を見る。梓が普段見せないような顔で俺を見ている。俺は小さくうなずいてから黒い塊を凝視する。


 「さぁ達也君! 召し上がれ!」

 龍ヶ崎の前にも黒い塊が置かれた。

 おそらくこれはハンバーグなのだろう。ハンバーグというにはハンバーグに失礼だがな。


 「なぁ佐倉、お前胃薬持ってきたか?」

 「奇遇だな龍ヶ崎。俺も今それお前に聞こうと思ってた」

 短いやり取りを交わした俺達。

 さっきまでの和気あいあいとした空気はない。お互い苦い表情を浮かべながら黙って黒い塊を見つめた後、「いただきます」と一言口にして黒い塊に箸をのばした。


 …硬い。

 まず最初にでた感想がこれだった。黒い塊に箸が入らない。固すぎる。鉱物かこれは。

 そりゃそうだ。あんだけ片栗粉入れて焼いたらめっちゃ固くなるに決まってる。仕方ない。俺は黒い塊を箸で掴み口に運ぶ。


 ……硬い。

 当然だ。箸が入らないほどの固さだ。顎の力で噛み切ろうにも相当力が必要だ。下手すりゃ歯が欠けるかもしれない。

 そんな不安を覚えながらも顎の筋肉に力を加えて黒い塊を噛み砕く。ガリッとおよそ食べ物からは滅多に聞かない音が聞こえた。さらにガリガリボリボリ音を立てて食べる。炭の味しかしないし、肉の味が一切しない。なにより粉っぽい。

 一度龍ヶ崎を見る。龍ヶ崎も暗い顔のままガリガリ黒い塊を食べている。これ、本当胃がやばいんじゃないか?


 「どう? 美味しいでしょ!」

 ニコニコ聞いてくる岡倉。彼女の前には何もない。

 どうやら自分は食べないらしい。お前の料理スキルが上達しないの、そういうところだぞ。

 中々飲み込めない黒い塊を水で無理やり飲みこんでから、岡倉の質問に答える。


 「岡倉、はっきり言うが不味い」

 「え…」

 なんで心底驚いたみたいな顔をしてんだよお前。

 見た目からして不味そうだっただろうが。


 「片栗粉入れすぎると固くなるって知らないのか? あと焼き加減も適当過ぎる。黒焦げになるまでなんで焼くんだよ」

 「え、だってしっかり焼かないと食中毒になるんじゃなかったっけ?」

 「それでも焼きすぎだ。加減を知らんのかお前は。こんなのでよく料理の腕が上がったなんて言えるなお前」

 ここは極力冷たく言い放つ。

 今日、岡倉の母親と初めて会って話して確信した。岡倉に必要なのは欠点をしっかりと口にできる存在だ。

 誰もがみんな岡倉の作る料理を褒める事も貶す事もせず、話を逸らしてきたから岡倉は勝手に「自分の作る料理は美味い」と勘違いしてしまったんだ。

 よくよく考えて、岡倉にはきっぱり言うほうが良い。

 正直岡倉のしょんぼり顔は見たくないが、心を鬼にしなければこいつの料理の腕は直らない。


 「達也君はどう? 美味しいよね?」

 不安そうに聞く岡倉。お前、まだこれを美味そうに見えるのか。


 「ごめん岡倉。不味い」

 龍ヶ崎も俺の考えを読み取ったのか、きっぱりと答えた。

 それを聞いて岡倉は凄い悲しそうな顔を浮かべて俯いた。


 「なんでよ…私、頑張って作ったのに…」

 「頑張って作ったところで結果が伴わなかったら意味ねぇよ」

 「英雄君…」

 俺が冷たく言い放つと梓がどこか不安そうに俺を見てきた。


 「…私、英ちゃんと達也君に喜んでもらおうと作ったのに…なんで、そんな事言うの…」

 「事実を口にしただけだろうが。不味いものは不味い。不味いものを美味いと言わないだけ優しいと思え」

 いつも以上にキツめの言葉を岡倉に投げつける。

 ここでの俺はあくまで悪役だ。岡倉を救えるのは、これから岡倉を支えるのは俺の仕事じゃない。そんな仕事はあの夏の夜に断った。

 横に座る龍ヶ崎を見る。龍ヶ崎もこちらをチラリとみてきて小さくうなずいた。お膳立てはしたぞ龍ヶ崎。ここからはお前の仕事だ。行け、男を見せろ。


 「岡倉、俺の為に料理を作ってくれるのはありがたい。だけどさ、今のままじゃダメだ」

 龍ヶ崎が立ち上がり岡倉の隣へと向かうと、彼女と目線を合わせるように腰を下ろす。


 「一から料理を学びなおしてほしい」

 「…達也君」

 しっかりと岡倉に思いを伝える龍ヶ崎。

 そんな龍ヶ崎を今にも泣きそうな顔で見つめている岡倉。


 「もちろん俺もダメだ。岡倉よりは上手く料理できるけど、それでも人にあれこれ言えるほど美味しくは作れない。…だからさ岡倉、一緒に頑張らないか?」

 「え?」

 龍ヶ崎と岡倉の話を耳にする。ここで変なちゃちゃはいれない。


 「俺も料理の勉強する。だから一緒に料理の腕をあげていこう。高校卒業してもずっと」

 「達也君…それって…」

 「あぁ、岡倉。…俺と、付き合ってくれ」

 「達也君…!」

 そうして抱き合う二人。

 …………。


 おい待て龍ヶ崎。変なちゃちゃは入れないと言ったが、何お前こんな場所で告白してんだ。マジで流れるような愛の告白に、見ているこっちも理解するのに時間がかかった。

 しかも抱き合うなお前ら。梓を見る。梓は微笑ましそうに笑っている。その中で俺だけが渋い表情で龍ヶ崎と岡倉の二人をみる。

 ともあれ、これで岡倉と龍ヶ崎の一件は落着といったところだろうか? なんだろう。これ俺と梓いらなかったのでは?



 「なんだか見せつけられちゃったね」

 「まったくだ」

 帰り道、駅まで梓と歩きながらそんな会話をする。

 結局のところ、龍ヶ崎と岡倉はこれから一緒に料理の腕をあげていくとの事。とりあえず龍ヶ崎には「不味いときはきっぱりと不味いって事と不味くなった理由を言え。はっきり言わないと岡倉には伝わらない」とだけはアドバイスしておいた。

 岡倉も「達也君に毎日美味しい料理作れるように頑張る」と意気込んでいた。まぁなんにせよ、今回の料理教室の目標である「岡倉の料理への心構えの変化」は達成した事になる。


 「でも一緒に頑張るって良いよね」

 「そうだな」

 「…そういえば私、英雄君の手料理食べたことないなぁ」

 そういってこちらをニコニコ見てくる梓。


 「そうだったな。今度弁当の一つや二つ作ってくるよ」

 「うん! 楽しみにしてる!」

 正直俺も料理の腕はよろしくないが、岡倉ほどじゃない。落胆される事はないだろう。



 冬の夕空を見上げる。こうしてまた一組カップルが生まれた。

 これで彼女持ちじゃない同期の野球部員は中村っちと鉄平と……哲也か。

 そんな事を考えながら、俺は梓と並んで帰るのだった。

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