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E1-エスぺリオ・オリジェン-  作者: 心音
序章 プロローグ
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5話 奇妙

 教師が教室の敷居を越えると、騒がしかった群衆が弾けるように各々の席へと帰ってゆく。もちろん俺の目の前にいた男、「PN(プレイヤーネーム):キョウ」もその一人だ。


 奴は一か月ほど前、『不思議の国のテレス』というオンラインRPGにて初心者対戦ルームを荒らしていた。ゲームのシステム上、初心者対戦ルームにおいて上級者は経験値を得られない。そのこともあって、一部では「(キョウ)」と呼ばれていた。


 そして、俺があのゲームを始めたのは、キョウの出現当初だった。何がきっかけで始めたのか、単に流行に乗っただけのような気もするが、小心者な俺は対人戦を避け、ゆっくりとモンスターを狩っては武器や経験値を稼いでいた。


 一週間前、ようやくゲームに慣れた俺は対戦ルームに顔を出してみた。一応初心者ルームに入ったのだが、初戦の相手は本当に初心者だったらしく、一瞬で勝敗が決した。

 しかし二回戦だ。俺は運悪くあの「キョウ」と対面することとなった。白装束に道化師(ピエロ)の仮面、うさみみフードという奇妙な姿に、俺は一抹の恐怖を覚えた。


 結果だけ言えば、俺は勝ってしまった。システム上、レベル1でもレベル100の相手に勝つことはできるのだが、あくまで理論上の話だ。理論上のはずなのだが、事実絶大なレベル差を前に勝ってしまったのだ。


 それ以来奴に絡まれるようになった。話せば話すほど奇妙な奴だったが、なんと同じ高校の生徒だということで不思議と親近感のような何かを感じていた。


 実際に会ったのは今さっきが初めてだ。現実では数倍増しで気味が悪かったが、それ以上に、キョウが持ち出した話が気になっていた。


『原初鏡を見つけた』


 キョウは突然そんなことを告げたのだ。そのときの口角の吊り上った表情が目に焼き付いてしまっている。先日、というか今朝の話だが、奴は俺をオカルト研究会とかいう部活に誘ってきたが、十中八九それと関係があるだろう。俺は嫌な予感がしてならなかった。

 そんな不安を払うように小さく息を吐くのだが、効果はないどころか逆効果だったかもしれない。


 いつの間にかHR(ホームルーム)が始まっていた。

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