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季節の移ろい
浦部が質問した。
「もともとは親父が今の小さな活版印刷会社をやっていまして、当時の私は脇坂先生と一緒に全国を発掘調査で回っている毎日でした。その親父が倒れて、私も家内との結婚話の事もあって、結局その結果、家業を継ぐ事になったのです」
「そうでしたか、どうりで特別に貴方とは親しい訳だ。*脇坂博士は、世界的にも有名な考古学者ですからね」
「私は*香月博士の持つ雰囲気と言うか、包み込むような人間的大きさに感じ入りました。又近い内にお会い出来るのを楽しみにしてます」
「それは案外近そうですね。俵さん」
浦部はにこっとして、答えた。
各部屋でも、それぞれの話が進み、この帝国ホテルでの一夜を胸に彼等は、帰って行った。
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