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第一章
「はは・・なるほど。俵さんは、*あの本を詳しく読んで下さったんだ」
「読めば読むほど競翔の世界は深いものですね。それと、愛鳩家の姿勢と言うものに感服致しました」
「凄い方達です。自分の人生の中で、短い間でも一緒の連合会で競翔をやれて幸せでした」
浦部が遠い目をしながらそう言った。
「浦部さんは、もうこちらで?」
「はい。以前の東神原市から、この地に工場が移転して、今はここが本社工場となっています。自分も結婚し、子供も生まれ、ここに家も建てました。私の両親も近々こちらに呼び寄せるつもりです」
*あの本とは、動物学者であり、この清治が深く数次元に関与する香月博士の著書の事である。