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ある境
「だから!それは、真偽の偽の方の話だ。毘竜、お前の記憶は、並び称する者が居ない程の特異なもの。それはそうだろう。全ての事象を完全記憶する能力等は、誰も持たぬわ」
「いや、それは記憶しようとする発動を持ってしての事よ。ここまでの全記憶を私が持っている訳では無いから」
「ふ・・それはそうであろうが、お前の眼には、その記憶媒体が、眠っているのでは無いか?それを意識して発動すれば、再現出来るのでは無いのか?我はそう見ていたが・・故に囲竜と共に、お前が吉良蝶を捕えたのと同様に、我の場合は、吉良蝶が飛ぶ範囲を来る日も来る日も観察して居った。そして目印を立てて行き、そこで待ち伏せしたのだ。その動きは確かに規則性を持っており、今回お前が囲竜と共に、閉じ込めた主要五岩体と同様の物であったと我は見るが、どうだ?」




