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ある境
「あの・・やはり私は神竜殿に何か作用を受けたので御座いますか?」
「いや、毘竜に作用する必要も無いだろう。だけど、お前の記憶力は誰も持ち得ていない特異なもの。それは、驚異的なものだと皆も分かっている。なら、神竜は、その記憶力の根源を確かめたんじゃ無いのかな」
「つまり、私から能力を?」
「いや、そんな必要も無いだろう。清治もそうだけどさ、俺達がそんなスキルを高めたとしても、恐らく使う事はねえよ。確かに皆が保持して居る能力を持てば、何でも出来ると言う錯覚も生まれるかも知れない。けど、それも前に言ったけど、自分の中で、辞書の1ページに過ぎない事だ。能力なんてものは、その者が一番発揮出来る環境があってこそ、最大限に活用出来るのさ。あれもこれも何でも器用に出来る、知識が半端無いからって言うだけで、それが一番だって言う事にはならねえだろ?竜王達は、皆そう言う奴らばかりさ」
「は・・い」




