78/9342
季節の移ろい
「それは、良く分かって居る。だからその次の事を聞きたい」
脇坂が、せかすように香月に言う。
簡単に説明してくれて居る香月博士だろうが、やはり、難しいテーマだった。政春は分からなかった。しかし、その脇坂の態度に少し、修二がむっとした顔になった。こんなに丁寧に説明してくれておられる憧れの香月博士に失礼であろう、そう思ったからだ。でも、香月はにこやかな顔のままで、
「はい。でも、博士。そこから先は個体差があるのです。それを1つにせよと言う事は出来ないのです。あくまで、データの蓄積と言った、途方も無い時間を費やす所から始まるのが、我々の仕事でしょう。博士の考古学も、発想や、インスピレーションの中から、地道な発掘作業がある。同じ事じゃありませんか?」




