7/9342
第一章
この出会いが俵夫婦、叉清治少年に大きな影響を与えるのだった。ここは非常に大事な部分であった。ただ、浦部自身が、清治の人生に影響を与えたのでは無く、表舞台に登場する人物達の接点になって行くのである。
小さな競翔家、俵清治。この数奇な運命と、少年に秘められた大きな能力が明らかになって行く。
清治と一緒に鳩を飼いだして、数週間が経った。見違える程明るくなり、俵夫婦にも心を開き始めた清治を見ながら、やっと家族と言う運命共同体が始動し始めた。
浦部と、俵一家が再び会ったのは、1ヶ月後であった。競翔が終了して、浦部が自身の子供を連れて公園で遊んでいる所に俵夫婦が来たのだ。
「ああ、こんにちわ」
浦部が声を掛ける。