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季節の移ろい
「香月君は、でも堂々としてましたよ。そして、余りにも彼自身の考えや、行動が我々の理解を超えていたせいでもあります。誤解は、ありとあらゆる機会に徐々に解けて行きました。結局彼自身が偉大過ぎた訳です。それは、私達の共通の師匠である川上さんにも、最初は理解出来ない事だったんですから当然ですよ」
「でも、基本は1つですよね?」
「良い事を仰る、俵さん。その通りですよ。根本が抜けていたら、鳩を飼う資格はありません。道具じゃないんですから、鳩は家族なんですから」
佐野が答える。
「ああ、やはり今日来て良かった。お二人のような立派な競翔家の声を聞けたから」
政春は、大きく頷いた。




