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志村恭介編 ニ尾城
「その娘さんは、元県会議員をしていた白川さんの一人娘で、小学3年生の頃に、事故で議員夫妻が亡くなり、親戚をたらい回しをされていたのを、お前が宿泊所としている寺の斎阿覚師が、自分の養女として引き取った。可哀想な境遇の子なんだ」
「ああ・・そう言う事でしたか・・でも、すぐ我々が斎阿覚寺に宿泊しているのを知られたんですね」
「そんな情報なら、簡単だ。ここは旅館だから、すぐ伝わってきたさ」
「成程・・では、脇坂博士とその女の子の接点は?」
「・・無いよ、そんな事」
「本当に?」
志村の顔が厳しくなる。
「おい、おい・・どうかしているぞ?志村、お前・・」




