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志村恭介編 ニ尾城
高村は、少し動揺したような顔になっていたが、そう答えた。
「先輩、先日のエクロジャイトですけど、どうして今まで黙って居られました?」
「黙ってなんか居ないさ。お前が見つけたんだろう?」
「先輩も当時脇坂博士と発見している筈ですよね?違いますか?西方城で」
志村はじっと高村を見た。澄んだ瞳だった。高村は少し眉間に皺を寄せた。
「止せよ、そんな眼で俺を見るのは・・・当時の俺は、商社から派遣された地上げの担当だ。旅館・ホテルの買収で動いていたんだ。お前も知っているだろうが」




