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季節の移ろい
政春が、弓子の肩を優しくポンと叩いた。
母性・・血の繋がりは例えなくても、母となる女性の慈しみ深いその愛は、ついに、清治少年に伝わった。母と呼び、息子と呼ぶ。それは血の繋がりなど凌駕する。母を知らず、父を知らず、年老いた祖父の温もりしか知らなかった清治だが・・今、その心が開かれて行く・・。
この夢の話であるが、先日の浦部との会話の中から政春には、確かめて見たい事があった。そうして、清治が育った敦盛の歴史資料館の資料室へ足を運ぶ政春だった。敦盛に伝わる民話を調べる為であった。政春は、その昔T大学で考古学を学んだ人物であったので、興味も少し湧いていた・・。




