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季節の移ろい
「清ちゃん、どうしたの?清ちゃん」
夢にうなされていたのか、清治が目を覚ますと、傍らに心配そうな弓子の顔があった。
「お・・お母ちゃん」
そう言い、清治が弓子に抱きついた。
弓子は思わずぎゅっと清治を抱きしめた。清治はその胸に顔を埋めた。初めて清治が弓子を母と言った日であった。
「どうした?弓子」
政春が起きて来る。弓子の頬に伝わる一筋の涙。清治はもう弓子に抱かれて寝息を立てていた。
「何でも無い・・でも、清ちゃんが、私をお母ちゃんって・・」
「そうか・・そうか・・寝よう、弓子」




