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志村恭介編 ニ尾城
「先生!余りの旅館での待遇に少し気負しましたね」
「ああ、あんな女将だったら、誰だってコロっと参るよ。それにしても気を遣われる事がこれ程苦痛とは、思わなかったなあ」
「それと、ご主人である高村先輩はどうですか?何かヒントがありましたか?」
志村は黙って首を振った。又二人の研究は振り出しに戻っていた。大勢の学者が西方城に集まって、すでに研究済み。果たしてここに調べる余地があるのだろうか・・?
「我々は今、2つの鉱物を手にしている。1つは滑石、1つは紅水晶。これらの物証から何が探れるのかだけでは、どうにも心許ない」




