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季節の移ろい
もうすぐ春の祭りが開かれる神社には、後から植えられた桜が満開で、年老いた神主さんが、その桜の下に散った花を掃いていた。神主さんが2人を見て、にこっとしながら言う。
「おう、こんにちは。もうすぐ祭り、楽しみだな、僕達」
「うん!」
2人が答える。
皺々の顔を更にくしゃくしゃにしながら、神主は、2人に飴を差し出した。
「あのね、僕、白蛇をさっき見たよ」
礼二が神主に言う。
「そうか、何年ぶりかのう。白蛇が出てくる年はきっと良い事がある。幸運じゃったな」
「うん」
2人は、神主に手を振りながら、神社を後にした。
その晩、清治が不思議な夢を見る。それは、本当に不思議な夢だった。




