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季節の移ろい
その礼二が、学校からの帰り、寄り道しようと清治を誘った。学校の隣に、棹の杜と言う、古い三皇神社の境内に隣接する天然林があり、鬱蒼と茂るその森の中を探索しようと礼二が突然言い出したのだ。
「だって・・」
学校の先生からは、子供だけで、この森に入ってはいけないと言われている。
「いいから、いいから」
少々活発で、好奇心旺盛な礼二にとっては、棹の杜は格好の興味の対象。いつもの帰り道を外れて、2人はその森に入る事となった。
「すげ・・」
棹の森には、樹齢300年を越す樟の大木が生い茂り、それ故に棹の森と呼ばれるのだが、昼なお暗い森林だった。その先に若宮を祀ってある、三皇神社があってそこまで2人は向かっていた。




